昨夏甲子園出場の茨城・霞ケ浦高野球部の寮めしレポートです。9日には同県での独自大会の要項が発表(7月11日からノーブルホームスタジアム水戸など)。部員たちは食事の強力サポートで、夏の目標へ向かいます。

炭水化物は3食で2100グラム

「ただいまー!」。午後7時半過ぎ。今年4月に新築したばかりの野球部寮に、選手たちの元気な声が響き渡る。選手の帰りを待っていた食堂の厨房(ちゅうぼう)にも笑顔があふれ、選手を迎える支度が活気づく。手洗い、うがい、消毒と準備を整えた選手たちが食堂に入ると、全員で合掌。「いただきます!」と声を合わせ、夕食が始まった。

選手が目指すのは10~15%の体脂肪

選手たちは、おいしそうにご飯をかきこんだ。聞くと、朝500グラム、昼800グラム、そして補食として練習前にどんぶり1杯のご飯を食べているという。夜も800グラムの炭水化物がノルマだが、選手たちは楽しそうに食事をしていた。

目指すは「身長マイナス97」の体重と10~15%の体脂肪率だ。高橋祐二監督(60)は「瞬発力やスピード、キレは体脂肪が多ければ多いほどなくなる。野手はとくに10%を目指したい」と話す。たくさん食べて、エネルギーを消費する練習を積めば、ベストパフォーマンスを発揮する体につながる。そのために、炭水化物、タンパク質、ビタミンを効率良く摂取できる食事が課題だ。

メインのおかずには必ず野菜

料理長の工夫をこらしたメニューと調理方法に秘密が隠されていた。料理長・石川孝幸さん(57)は「子供たちはご飯に飽きてしまう。だから、夜のご飯は500グラム。残りの300グラム分の炭水化物は麺類で用意。少しでも子供たちが食べやすいように」と気を配っている。

調理担当の平間さん(左)と阿部さん

夕食はご飯に麺類。メインのおかずに野菜が必ず添えられる。また、麺類には野菜も一緒に調理されているため、おいしく栄養をとれるわけだ。タンパク質を欠かさずにとるため、朝は牛乳200ミリリットルを提供。お昼は授業の合間に食べやすいように、どんぶりを用意。週1回、朝食にはパンをメニューに加えた。調理場では1からパンを作る。焼きたてホカホカのパンに卵サラダやウインナーを挟み、子供たちには大好評。

石川さんは「楽しみなご飯にしないと、この食事の量は乗り切れないでしょう。食べる事を嫌になって欲しくないですから」と選手たちに、いかにおいしくたくさんの栄養をとってもらうかを第一に考えている。

この日の夕食はナポリタン、鴨サラダ、サラダ、ご飯、チキンボールのスープ

石川さんの経験もおいしい料理にひと役かっている。以前担当していた寮では、食事が残ることが多かった。残された食事を見ると、食材から油が浮き出ていた。現在は調理方法を考え、スチーマー調理器を活用し油を一切使わない。この日のメニュー、ナポリタンも油を使わずに調理。時間がたっても余分な油は一切出ず、なおかつヘルシーで、味が落ちない。記者も試食させてもらったが、大変、おいしくいただいた。

「選手たちも、食事は残さず食べてくれます。残飯入れはいつも空っぽ。こんな寮、今まで経験ないですよ」と、石川さんに笑みがこぼれた。主将の小田倉啓介内野手(3年)は「寮の食事はおいしくたくさん食べられます。食べやすく工夫してくれているのが、本当にありがたい。体重も増えている選手も多いんですよ」と話した。

高橋監督は「この食事で、選手たちがどんなふうに成長してくれるか楽しみです」と期待する。霞ケ浦は、食事の面からの強力サポートで、選手たちをたくましく育てている。【保坂淑子】

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