新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月19日に自宅待機命令が出されて3週間が経った米ロサンゼルス(LA)では今、パン作りが大ブームになっている。自宅待機命令が発令された週だけで、小麦粉の売り上げが60%増。イースト(酵母)は前年同時期と比較して売上647%となり、パン作りに欠かせない材料は今もなお入手困難な状態が続いている。

パンデミックスの中、なぜアメリカ人はパンを焼くようになったのだろうか。

食料品の買い占めから自分で作る

大きな理由は、トランプ大統領の国家非常事態宣言による食料品の買い占めが起こったことで、パンを含むほぼ全ての食料品がスーパーの棚から消えたことにある。パンが買えないなら自分で作るしかないと思ったのだ。

その後の外出禁止令で在宅勤務や自己隔離生活に入って家にこもるようになると、たっぷり時間があるので、退屈しのぎにパンや焼き菓子を作ることに夢中になっていった。テレビやネットでは有名シェフによるレシピが紹介され、SNSに自慢のホームメイドブレッドやお菓子の写真がたくさん投稿されるようになったことも、ブームに拍車をかけた。

子どもと一緒に趣味や楽しみに

日を追うごとに感染者が増え、より厳しい外出自粛が求められる中、今では感染リスクを恐れて買い物に出かけることさえ躊躇(ちゅうちょ)する人たちにとっては、焼き立てを毎日楽しめるパン作りは格好の趣味になった。休校になって自宅に閉じこもる子どもと一緒に楽しめることも人気の秘訣だという。

今では、自家製イーストから本格的な酵母パンに挑戦する人もいる。小麦粉の代用としてアーモンド粉やココナッツ粉、キヌア粉なども注目を集めており、ネットで高値取引されている。

社会的距離を取る対策で人と会うことが難しい今、離れて暮らす家族に愛情を込めて宅配便で手作りパンやお菓子を送る人も増えている。いつまで続くか分からない外出自粛を乗り切るために、パン作りを楽しみの1つにしている。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】