新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が止まらない。日本では安倍晋三首相が7日、緊急事態宣言を発令した。

アメリカでは3月上旬から全ての州で休校措置がとられ、「ソーシャル・ディスタンシング」と呼ばれる社会的距離を取る対策が行われている。感染が拡大している州ではすでに年度末にあたる夏休みまでの休校を決めている。先月19日から自宅待機命令が出ているカリフォルニア州もその1つだ。

休校とはいっても休暇ではない。子どもたちは毎日、オンライン授業で勉学に勤しんでいる。管轄の学校区によって取り組み方やシステムに違いがあるようだが、ロサンゼルス(LA)の学校に通う中学校男子の母ゲールさんに話を聞いた。

中学生男子の母が語る

小学校に入学した時点ですでに、生徒1人1人にGoogle(グーグル)のアカウントが渡され、レポートや宿題をオンラインで提出する取り組みが行われている。そのため、リモート授業になっても戸惑うことはほとんどなかったという。

オンラインで毎日、科目ごとに出される宿題やレポートを指定された時間までに提出することが課せられ、テストも行われる。「毎日、9時までに数学、10時までに英語、11時までに化学といった感じで提出時間が決まっているので、かなり忙しくて遊んでいる暇はないですよ。デジタル教材だけでなく、算数では教科書の問題を解答後にキャプチャをとって送ることもあります」とゲールさん。提出したレポートや宿題は添削してすぐに戻され、リアルタイムで教師に質問メッセージを送るなどのやり取りもできるという。

体育、音楽などの授業も

外出がままならない状況だが、体育や音楽、美術などの授業も行われている。「うちの学校は体育の授業の代わりに毎日の運動を記録することが義務付けられていて、自転車で近所を何分走ったとか、家で兄弟と鬼ごっこをして走り回ったとか報告する子もいるようです。YouTubeにある動画を使って体育や美術の授業を行っている学校もあるみたいです」と発想の転換で、家にいても楽しんで学べる工夫がなされている。

カリフォルニア州では、オンライン授業の足かせとなるインフラはグーグルと提携することで解消している。グーグルは自宅にコンピューターがない学生に無料でパソコン端末を貸し出し、州内の10万世帯に無料の高速Wi-Fiルーターも提供すると発表。希望者は学校を通じて支給してもらえるという。

貧困家庭の子どもの食事支援も

また、休校になることで給食が食べられずに困窮する子どもたちを支援するため、地区ごとに決められた場所で無料の食事も配布されている。LAでは18歳以下であれば、誰でも朝と昼の2食を受け取ることができる。

子どもたちにとっては約3カ月もの長い自宅待機となるが、皆が一緒にオンラインでつながっていることで安心して、普段と同じように勉強ができているという。教育を受ける機会を奪わないためのシステム作りや貧困家庭の子どもたちも平等に教育を受けられる取り組みは、日本が学ぶべきところがたくさんありそうだ。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】