飛び込み日本代表として活躍した中川真依さんが、自身の成長期の食事について話した。

飛び込み競技は美を競う競技。水着一枚で戦うため、見た目の体のラインについては小学生の頃から厳しく指導されてきた。

特に成長期である高校生から大学生にかけては食事には気をつけていたものの、なかなか体形をコントロールするのは難しく、演技に対してのコーチングの前に「痩せろ」と言われていた時期もあった。

ロンドン五輪女子高飛び込みでの演技
ロンドン五輪女子高飛び込みでの演技

飛び込み競技は採点競技。跳び上がった時の軽さはもちろん、キレのある動きと回転のスピード、そして入水時に水しぶきを上げないためにはシェイプラインがかなり重要になってくる。そんなことは自分でも分かっているからつらい。成長期の食欲との戦いに加え、コーチの厳しい指導は思春期の心に鋭く突き刺さった。

成長期がパフォーマンスに影響

女性は月経が始まるとホルモンの分泌が盛んになり自分の思うような体のコントロールが難しくなる。それは生理的な現象だから仕方がない、では済まないのがアスリート。成長期を迎えた女子選手は女性らしい体つきになり、食欲も出てくる。それまでは成績が上がってきていても、そこを境にパフォーマンスや成績に影響が出てきてしまうことはよくある。

だからと言って無理に成長を抑えると集中力の低下や筋力の衰え、拒食症になったり、過度のストレスでさらに過食になってしまったりと反動も出てくる。そして何よりもけがにもつながるとても重大かつ繊細な問題だ。

女子選手の「成長期問題」は選手にとってもコーチにとっても大きな課題だろう。

私も悩まされた一人だ。

私が体のラインを意識し始めたのは中学生の頃だった。コーチからの指導の影響もあり「太る」という言葉にもかなり敏感になった。食事にも気を使うようになり、その事を母に伝えて栄養管理をしてもらった。

しかし高校生になると食欲はさらに増進。思春期も重なって心も不安定な時期に入り、制限しなければいけないと分かっていながらも食欲は止まらなかった。

毎日のハードな練習で1日の消費カロリーはかなりのもの。母に作ってもらう食事はきちんと栄養を考えてくれているので、それだけを食べていればいいのに、足りずに間食をしてしまう。これでは栄養管理をしてもらっている意味が無かった。

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