来春に創立100周年を迎える古豪が、82年夏以来38年ぶり甲子園出場の吉報を待つ。第92回選抜高校野球大会(20年3月19日開幕、甲子園)の21世紀枠候補9校が13日、日本高野連から発表された。北海道地区は1920年(大9)創立の帯広農が初めて候補校となった。

今秋の全道大会で初めて4強入りした成績や、学校産の食物を使った体づくりなどが選考理由。21世紀枠3校は、一般選考と同じ来年1月24日の選考委員会で決定する。

筋力アップのため同校で搾乳された牛乳、栽培された大豆を使った特製「きなこ牛乳」を練習前に飲む帯広農の選手たち(撮影・永野高輔)

来春創立100周年

帯広農が北海道地区21世紀枠候補校に決まった13日、前田康晴監督(43)から知らせを受けたエースの井村塁主将(2年)は、すぐに部員がいる10教室全てを周って伝達した。同枠3校の発表まで、1カ月強。井村主将は「100周年というタイミングがいいときにチャンスをいただいた。もし選ばれたときに、恥ずかしくないよう、しっかり準備をしたい」と気を引き締めた。

農業高校ならではの強化方法で春に備える。冬場の練習前には、校内で搾乳した牛乳、栽培した大豆を使った「きな粉牛乳」で良質のタンパク質を摂取してから筋力トレーニングに励んでいる。昨冬から始めた取り組みで前田監督は「プロテインを飲むのも良いが、きな粉ならタンパク質以外にも体に良い栄養素が取れる。自分たちでつくったものを生かして強化するのがうちの活動」と説明した。

センバツ21世紀枠の北海道地区候補校になり意気込む帯広農の選手たち(撮影・永野高輔)

自分たちが作ったもので体を作る

農業科学科には、大豆の選別作業という過酷な冬の実習がある。約1時間、ピンセットや指を使い、傷のあるもの、サイズが足りないものを、ひたすら仕分けする。主砲の水上流暢(はるのぶ)右翼手(2年)は「根気強くなり集中力が増す」と言う。今秋は地区初戦から全道準々決勝まで6戦連続2ケタ安打と打線爆発も、水上は「本来はバントを使ってこつこつつなぐスタイル。打てないときにも、しっかり戦えるように準備しないと」。肉体強化だけでなく、心の鍛錬も忘れない。

9月まで放送されたNHK連続テレビ小説「なつぞら」のモデル校とされ、注目を浴びた。宝塚の女優が突然、訪れたり、テレビ収録で、お笑い芸人のみやぞんも来た。OBからポケモングッズが大量に届けられたことも。井村主将は「取り上げてもらうことでモチベーションも上がった。でもここで満足せずに、さらに強くならないと、私立校には勝てない」。“自給自足型”トレーニングで、地道にレベルアップを図っていく。【永野高輔】

帯広農 1920年(大9)創立の道立校。生徒数585人(女子208人)。野球部は1926年(昭元)創部で部員は1、2年生で36人。甲子園は82年夏に出場し、2回戦で益田(島根)に2-5で敗退。主な卒業生は夏季五輪で08年北京、12年ロンドン大会の自転車競技マウンテンバイク代表の山本幸平、16年リオデジャネイロ大会女子7人制ラグビー代表の桑井亜乃ら。所在地は帯広市稲田町西1線9番地。二木浩志校長。

(2019年12月14日、ニッカンスポーツ・コム掲載)