アメリカでは、少なくても3000万人以上の摂食障害の患者がおり、特に若年層が増えていると言われています。子どもの摂食障害のリスクを高めているのは、Facebook、Instagram、SnapchatなどのSNSの急速な広がりにあるとの研究結果がこのほど報告されました。

摂食障害国際ジャーナルに発表された論文では、これまで関連性が指摘されていたティーンエージャー(13~19歳)より幼い世代でも、SNSを利用する時間が長いほど摂食障害になる危険度が高いとしています。お子さんがSNSに接する機会が増える冬休み、注意が必要です。

12~14歳の1000人対象の研究

この研究は、オーストラリア・アデレードにあるフリンダース大の研究者が12~14歳の1000人を対象にSNSの利用と食事について調査したもの。女子は75%が1つ以上のSNSアカウントを利用し、52%が食欲不振や過食症、食事をしない過度のダイエットなど摂食障害の危険信号を抱えていました。男子は70%がSNSを利用し、45%に摂食障害の危険性が見られたといいます。

容姿を他人と比較、やせてることが◎

女子は過半数、男子も半数近くがリスクを抱えているというショッキングな報告。女子の方が摂食障害の危険性が高いのは、「自撮り写真を含む人物の写真をSNSに投稿する傾向が強く、外見がやせて見えることを望み、他人と容姿を比較するから」と理由を挙げています。

さらに、複数のSNSアカウントを利用したり、1日のSNS利用時間が長いほど、より摂食障害のリスクが高いとしています。特に、自撮り写真だけでなく、友人とのグループ写真やセレブの画像などを投稿する頻度が高いと、「投稿した写真に対するコメントや、承認を得るためにSNS上での見栄えや外見ばかり気にして、やせていることが良いという思い込みが発生しやすくなる」としています。

また、「保護者はSNSの危険性をもっと認知するべきで、昔から親が子どもにテレビを観る時間や内容を制限していたように、SNSの利用にも目を光らせるべきだ」と警鐘を鳴らしています。子どものSNS利用については保護者の管理が重要で、摂食障害のリスクをなくすためには、13歳未満には利用させないことを推奨しています。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】