「氷上の格闘技」と呼ばれるアイスホッケーの米国代表を統括するUSAホッケーも、高レベルのパフォーマンスを維持するため、選手と指導者に向けた栄養に関する指標を立てています。数値を細かく紹介するのではなく、選手が一目で分かり、イメージしやすいように図解を用い、「キャラクターパッケージは避けるように」といった独特の表現で印象づけ、食事の大切さを伝えています。

USAホッケーの栄養指標

(1)目標とライフスタイルを定めて食事をしよう。エリート選手になりたいなら、エリートになるための食事をすること。そのためには最高品質で健康的な食材を使って調理した食事を心がけよう。
(2)スナック菓子やファストフードは避けること。
(3)マンガのキャラクターがパッケージに描かれた食べ物は、エリート選手にはふさわしくないので避けるように。
(4)糖分を多く含むソーダやスポーツドリンク、ジュースの代わりに水を飲もう。

言葉ではなく「図」で見せる

さらに、トレーニングの度合いに応じてどのような食事をしたら良いのか、1食で摂る食材の割合を言葉ではなく、米国オリンピック委員会のスポーツ栄養士とコロラド大学(UCCS)スポーツ栄養プログラムが共同開発した「アスリートプレート」という図を使って示している。

軽めのトレーニングの日/体重管理が必要な選手

全体の食事の半分をサラダや調理野菜、野菜スープなど野菜と果物にする。4分の1を鶏肉、牛肉、ラム、魚、卵、豆腐などの大豆類などタンパク質、残り4分の1をパスタや米、イモ、シリアルなど全粒穀物にする。体重管理が必要な選手は炭水化物を減らし、その分タンパク質を増やす。

適度なトレーニングの日

技術的な練習に加えて、持久力や筋力に焦点を当てたトレーニングを1日2回行う場合は、エネルギー源となる炭水化物の量を増やすと良い。また、アボカドオイルやナッツ、チーズやバターなどの脂質と共に、ドライフルーツやフルーツジャムなど煮込んだ果物も取り入れよう。

ハードなトレーニングの日/試合の日

ハードな練習や試合のある日は、全体の食事の半分を炭水化物にし、エネルギー源の補給をしよう。野菜類とタンパク質は共に全体の4分の1とし、野菜類とは別にベリー類やバナナなど果物やドライフルーツも取り入れよう。さらにハードなトレーニングのリカバリーのために、脂質も適度な運動の日の倍となるテーブルスプーン2杯分を目安に摂取しよう。ハードな試合に備えて多くのエネルギー源を必要とするなら、前日からこのような食事にすると良い。

味付けはいずれも、塩、コショウ、ハーブ、スパイス、酢、マスタード、ケチャップなどシンプルなものをすすめている。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】