<フィギュアスケート:GP第6戦NHK杯>◇22日◇北海道・真駒内アイスアリーナ◇女子ショートプログラム(SP)

女子SPで2年連続GPファイナル出場を狙う紀平梨花(17=関大KFSC)が79・89点を記録し、2位発進した。昨季の課題だったSPでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を3試合連続成功。表彰台に立てば自力で進出が決まるファイナル(12月、イタリア・トリノ)へ前進し、フリーでの4回転サルコー挑戦に意欲を見せた。コストルナヤ(ロシア)がSP世界最高の85・04点で首位。山下真瑚(愛知・中京大中京高)は5位、横井ゆは菜(中京大)は8位となった。

女子SPで演技する紀平(撮影・加藤諒)

紀平がシニア2年目の成長を証明した。札幌の観客が静かに見守った冒頭の3回転半。2・29点の加点を導く成功で「自分の中で100点に近いアクセル」と流れに乗った。演技終盤の3回転ループは、こらえて着氷。客席の日の丸の旗を眺め、笑顔になった。「可能性は保てた。(23日に)自信を持てる練習ができたら入れる可能性がある」。4回転挑戦を目指すフリーへ、最高の位置につけた。

直前の6分間練習では3回転半を何度かミス。靴ひもの締め方が緩かった問題に対処し、約30分後の本番に備えた。昨季の国際大会では8戦中2度の成功だった3回転半を、きっちりと決める修正力。4回転が跳べないSPで武器になる3回転半を、今季3戦全てで成功させ「いろいろ(昨季に)ミスをして修正できてきた。経験なのかな」と笑った。9月に左足首を痛め、得点源の3回転ルッツは回避。2位発進ながら「伸びしろがある」と収穫ばかりだ。

女子SPの演技を終え、笑顔であいさつする紀平(撮影・加藤諒)

安定した演技は徹底的な自己管理に裏付けられている。成長期まっただ中の高校2年生を支えているのは、スマートフォンへ日課として記す摂取カロリーの記録だ。1日2000キロカロリーを基準に、肉を焼く際には野菜を準備。油を引かず、野菜から出る水分を使っての調理にこだわる。シニア1年目の昨季から注目され、意識が大きく変化。ご褒美で焼き肉が提案されても「(積み重ねが)もったいない」と首を横に振り、外食時はカロリーを記したメニューを設置する店にこだわる。

NHK杯 女子SPの演技後、キスアンドクライで結果を聞いて笑顔を見せる紀平(奥)と浜田コーチ(撮影・加藤諒)

ベテランのアスリートのような取り組みだが、周囲に強制されている訳ではない。トレーナーの助言や、インターネットを参考に自らを律してきた。毎日の送り迎え、練習の動画撮影など二人三脚の日々を過ごす母実香さん(48)まで「コンビニのスイーツを食べたくなくなった」と苦笑する。娘の食生活で健康的な生活に染まり、母も好物を求めなくなるほどだった。

シニア1年目のコストルナヤにSP世界最高得点を更新されたが、冷静に誓った。「一番は(22年五輪の)北京で優勝する夢がある。優勝するには誰にも負けられない」。首位と5・15点差の逆転に切り札となる4回転。そのお披露目も視野に、3年後の大勝負へ、1歩ずつ進む。【松本航】

(2019年11月22日、ニッカンスポーツ・コム掲載)