ラグビー日本代表プロップでトンガ出身のバル・アサエリ愛(30=パナソニック)には「日本の父」がいる。埼玉県深谷市で白菜農家を営む、三友(みとも)元一さん(70)だ。

ウオーミングアップで汗を流すプロップのバル(撮影・滝沢徹郎)

埼玉工大時代のオフ期に三友さん宅で4年間バイトした。トンガ人留学生とともに一度に5箱(計100キロ超)の白菜ケースを担いで、専用コンテナへ運搬する「最強の運び屋」だった。月約20万円のバイト代の大半を経済的支援のためトンガの実家へ仕送りした。

三友さんは「恥ずかしがり屋のアサエリがこんなことになるとは想像もしなかった。親戚までテレビにかじりついて涙こぼして見ているよ」と感慨に浸った。

ウオーミングアップで体をほぐすプロップのバル(手前左)ら(撮影・滝沢徹郎)

1日2回のお茶休憩では、バルの話題で持ちきりという。

パートさんらの間で「アサちゃんタイム」と呼ばれ、トンガの主食タロイモの代替としてヤマトイモを大鍋で蒸して食べたり、パナソニックに就職が決まって運搬用軽トラで引っ越しを手伝ったことなど話は尽きない。バルは三友さんへ感謝の意を表し「W杯8強を達成して会いに行きたい」と、結果での恩返しを誓った。【峯岸佑樹】

◆バル・アサエリ愛 1989年5月7日、トンガ生まれ。15歳で来日。正智深谷高-埼玉工大-パナソニック。17年11月のオーストラリア戦で代表デビュー。代表キャップ11。13年に萩本欽一の親族で元テニスプレーヤーの妻愛里さんと結婚し、日本国籍を取得。名前の「アサエリ」に妻の名前の「愛」を1文字加えた。家族は妻、2男1女。特技は散髪。趣味は温泉。187センチ、115キロ。血液型O。

(2019年10月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)