韓国出身の日本代表プロップ具智元(グ・ジウォン、25=ホンダ)は、6日の南アフリカ戦に向け、都内で最終調整を続けている。7月の宮崎合宿で右手甲を骨折したが完全復活。スクラムの要としてパワーは健在で、その源は食事にある。中3から4年間過ごした大分県佐伯市では、数々の「大食い伝説」を残してきた。

具智元(右)が相撲の九州大会で食べた巨大佐世保バーガー

具は学生時代から練習と同じぐらい食事もストイックだった。鶴谷中3年時に佐伯市へ移り住み、当時は178センチ、94キロと体格は決して大きくなかった。しかし、元韓国代表で「アジア最強プロップ」と呼ばれた父東春さんの影響もあり、成長期を迎えて一気に食事量が増えた。佐伯市内では「食いしん坊」としても知られていた。

伝説(1)日本相撲協会スカウト 鶴谷中3年時、「思い出づくり」も兼ねて即席相撲部に参加。焼き肉店でファミリーセット4皿(12人前相当)以上を注文し、九州大会では巨大佐世保バーガーを平らげて団体での全国大会出場に貢献した。「機敏な動きでセンス抜群」と、同協会関係者からスカウトの電話もあった。

相撲の全国大会で活躍する具智元(左)

伝説(2)おやつは佐伯ラーメン 日本文理大付高時代に毎週、ラーメン店「南国」へ通った。南国は佐伯市出身の力士、嘉風もこよなく愛する名店。土日の昼食後、寮から徒歩で片道1時間かけて、学割価格の大盛りチャーシュー麺とご飯を3セット以上注文した。しかし、徒歩で帰宅すると、その頃には腹が鳴っていた。他店では、メニューにないトリプル(3玉)や替え玉を10回以上頼み、スープがなくなって店員が無料追加してくれたことも。けがしても豚骨ベースの「佐伯ラーメンを食べれば治る」が口癖だった。

伝説(3)夏祭りの英雄 高2の時、夏祭りの大食い大会に飛び入り参加。大人に交じって、カレーライス600グラム、特産のくじゃく(ゆで卵が入った練り物)2個、コカ・コーラ500ミリリットルを一気に飲み干して圧勝した。「あの子は何者なんだ」と市民を驚かせた。

佐伯市を離れてから6年が経過したが「第2の故郷」への思いは強い。今でも年に数回、母校や飲食店などへ顔を出す。現役引退後は兄智充(27=ホンダ)と飲食店経営を夢見るほど食べ物が大好きで、体格は183センチ、122キロまで成長した。16日後には日本代表としての誇りを胸に夢舞台へ臨む。「佐伯のみんなに成長した姿を見せたい」。大食漢の恩返しの挑戦が始まる。【峯岸佑樹】

(2019年9月4日、ニッカンスポーツ・コム掲載)