ソフトボール女子日本代表のエース上野由岐子(37=ビックカメラ高崎)が、顎骨折の苦労を赤裸々に語った。29日、群馬・高崎市内でジャパンカップ国際女子大会(30日開幕)の前日練習に参加。4月にピッチャー返しの打球を受けて顎を骨折。手術を行って全治3カ月の診断を受けた。今月23日から代表合宿に参加。4カ月ぶりの公の場で、その衝撃を語った。

笑顔でノックを受ける上野由岐子(撮影・益田一弘)
笑顔でノックを受ける上野由岐子(撮影・益田一弘)

「痛みよりも脳振とうがひどかった。『ちょっと待って』みたいな。完全に下顎がずれている感覚があって『あ、これはだめなやつだ』と」

4月27日に打球を受けて、同30日に手術を敢行。約1カ月の入院。流動食で体重も約5キロ落ちたという。「口が開けられないので食欲がわかなくて。鼻から入れていた。口から入れてないけど、げっぷをしたらバニラの味がする。看護師さんに『他の味はないんですか?』と聞いた」。

退院後も大好きな肉を食べる際も「はさみですごく細かく切ってかみました」と苦笑いで振り返った。7月から本格的に焼き肉を食べて、ピッチングも再開。投球については「意外と忘れてないな、と思った。たかが1、2カ月休んで忘れるほど薄い歴史じゃないので」とさらり言った。

今大会は30日のチェコ戦で中継ぎ登板を予定。4カ月ぶりの実戦復帰に向けて上野は「(けがは)時間が解決してくれるものと、特に焦りはなかった。投げるだけなら特に不安はなく。(恐怖心は)今はないですが、やってみないと分からないです」。宇津木監督は「変化球はほぼパーフェクト。ただ打球でけがをしたので、少し投げながら様子を見て」と話した。【益田一弘】

(2019年8月30日、ニッカンスポーツ・コム掲載)