<柔道:世界選手権>◇第1日◇25日◇東京・日本武道館◇女子48キロ級

女子48キロ級で、17年世界女王の渡名喜風南(となき・ふうな、24=パーク24)が銀メダルを獲得した。昨年と同じ世界女王のダリア・ビロディド(18=ウクライナ)との決勝で、優勢負けを喫した。

2年連続の準優勝で悔し涙を流す渡名喜(撮影・大野祥一)

あと1歩及ばなかった。渡名喜はビロディドに対し、一時は組み手争いで優位に立ち、指導2を与えた。残り1分39秒。一瞬の隙を狙われ、払い腰で技ありを奪われた。「落ち着け」と言い聞かせて、終盤も一方的に攻め続けた。世界女王を追い詰めたが惜敗した。「悔しいの一言。冷静に前に出ることはできたけど、投げられたので負けは負け…」。目を真っ赤にして振り返った。

ダリア・ビロディド対渡名喜風南 攻め込む渡名喜(左)(撮影・大野祥一)

ここ1年は、柔道の「意識改革」に重点を置いた。1年前は、ビロディドに「勝ちたい」という気持ちが前面に出過ぎ、空回りして完敗。「感情のコントロールができなかったこと」が最大の敗因として、遊び心も必要と考えた。オンオフの切り替えを大切に「NO柔道デー」をつくった。柔道に興味がない友人らとの食事や、沖縄などへ1人旅に出掛けて心身を休ませた。

その一方で、1月には課題の体幹を強化するために単身でモンゴル修行するなど柔道漬けの日もつくった。モンゴル相撲で体さばきや足場の悪い山道を走ってヒントを探った。13年世界女王のムンフバット(モンゴル)との食事で「肉を食べないと強くなれない」と指摘され、苦手な牛肉が「好物」と言えるまで食べられるようになった。今では、1日1食は肉を口にする“肉食女子”だ。

ダリア・ビロディド対渡名喜風南 試合後、互いの健闘をたたえ合う渡名喜(左)とビロディド(撮影・大野祥一)

2年前に世界女王となり周囲の期待や重圧などさまざまなことを経験した。東京オリンピック(五輪)を「ゴール」とは考えずに、自身が納得のいく柔道を追求する。全ては強くなるため-。苦手を1つずつ克服して、1年後の夢舞台を見据える。【峯岸佑樹】

渡名喜風南(となき・ふうな) 1995年(平7)8月1日、神奈川県生まれ。9歳で競技を始める。東京・修徳高-帝京大-パーク24。17年世界選手権優勝、18年世界選手権2位。左組み。得意技は小外刈り。趣味は読書。148センチ。

(2019年8月25日、ニッカンスポーツ・コム掲載)