<米女子ゴルフ:AIG全英女子オープン>◇最終日◇4日◇英ミルトンキーンズ・ウォバーンGC(6756ヤード、パー72)◇賞金総額450万ドル(約4億9500万円)優勝賞金67万5000ドル(約7400万円)

黄金世代の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、日本勢では男女通じて42年ぶりのメジャー優勝を達成した。単独首位から出て7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り通算18アンダー。3番パー4で、痛恨4パットのダブルボギーをたたき一時はV争いから脱落しかけたが、L・サラスと並んだ最終18番パー4で約5メートルのバーディーパットを沈めて劇的に優勝を決めた。77年全米女子プロを制した樋口久子(現LPGA顧問)以来2人目の快挙。「笑顔のシンデレラ」が世界を驚かせた。

ニッポンハム・レディース初日。10番でティーショットを放ち打球の方向を確かめる渋野日向子(2019年7月11日)

突如、現れた「シンデレラ」が、ついに世界の頂点に立った。日本から約9500キロ。ロンドンの北西にある会場で、歓喜の瞬間が訪れた。日本から来た無名の20歳。渋野が大歓声を浴びる。夢か、現実か-。こんな日が訪れようとは、想像もしていなかった。日本勢としては42年ぶりのメジャー制覇の快挙を達成。19年8月4日。日本ゴルフ界に、永遠に消えることのない新たな歴史が刻まれた。

苦しみ抜いた末の優勝だった。2打差をつけた2位ブハイ(南ア)との2人で、最終組をスタート。優位にいるはずが、重圧にのみ込まれた。2番でバーディーパットがカップに蹴られると、続く3番パー4で悪夢を見た。2オンしながら痛恨の4パットで2位後退。5番で5メートルのバーディーパットを沈め、再び単独首位に立ったものの、伸ばしきれず。一時は首位に5人が並ぶ大混戦を招いた。

勝負は、前日の第3Rまでの3日間でボギーなしと強さを見せつけた後半の9ホールだった。

残り3ホールで、L・サラス(米国)と通算17アンダーの首位で並び、事実上の一騎打ちになった。

渋野は、16番パー4はパー。17番パー3は難しい下りのバーディーパットを、ピン側に寄せてパーとする。この時点で、2組前のL・サラスは18番の約1メートルのバーディーチャンスを外して、同17アンダーのままホールアウトした。

最終18番パー4。渋野がバーディーを奪えば、優勝が決まる。舞台は整った。

第1打はフェアウエーに置いた。第2打はピン横5メートルへ。長いバーディーパットを沈め、歓喜の瞬間を迎えた。

「鳥肌が立ちすぎて、言葉にできないです。前半は緊張していたけど、後半は緊張していなかった。最後もそこまで緊張しなかったです。(18番のバーディーパットは)ここで決めるか、3パットするか。強気で打ちました。(3番の4パットは)怒るより、だんだん悲しくなってきた。10番は切り替えるために、ここでバーディーを取らないといけないと思いました」

スタート前には大ファンだと公言するEXILEの佐藤大樹の動画を見てリラックス。イチゴを食べて、コースへと飛び出した。

ちょうど1年前の夏にプロテスト合格。昨年は国内のレギュラーツアーで獲得賞金0円の選手が、一気に世界の頂点に立った。まさにこれが“シンデレラストーリー”だろうか。かつて世界ランク1位に立った宮里藍ですら成し遂げられなかったメジャー優勝の快挙。成長著しい20歳が、一気にその階段を駆け抜けた。

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