北越(新潟)の大砲、高橋哲也一塁手(3年)が持ち前のパワーでチームに勝利をもたらす。

主に8番に座った春季県大会は公式戦での高校初本塁打を含む2本の本塁打を放ち、3位に躍進する原動力となった。大会後からの練習試合でさらに5本の本塁打を積み重ね、長打力に磨きをかけている。「打撃の感覚はかなり良い」。最高の調子で夏を迎える。

打撃好調で夏を迎える北越の大砲、高橋哲一塁手(3年)(撮影・山岸章利)
打撃好調で夏を迎える北越の大砲、高橋哲一塁手(3年)(撮影・山岸章利)

苦しい冬を乗り越えた。新チームが始動した昨秋、投手でのベンチ入りを目指していたが体重増加が原因でパフォーマンスが低下。まさかのベンチ外となった。小中ともにエースだった高橋哲にとって大きな挫折。悔しさを晴らすためにも「体を絞るしかない」と減量を決めた。

取り組んだのは、炭水化物を制限する食事改革だ。毎晩どんぶりで2杯食べていた白米を二口ほどに減らし、代わりにサラダなどで野菜を多めに摂取。肉は脂身の少ない鶏肉を選んだ。

体重を減らしながらも筋肉量は維持できるよう細心の注意を払い、ウエイトトレーニングを続けた。冬が明け、97キロあった体重は82キロまで減量。体のキレは増し、鋭いスイングから飛距離のある打球が飛ばせるようになった。

フルスイングを誓う北越の大砲、高橋哲一塁手(3年)(撮影・山岸章利)
フルスイングを誓う北越の大砲、高橋哲一塁手(3年)(撮影・山岸章利)

迎えた春季大会。打撃が評価され、一塁手でのレギュラーを掴んだ。準々決勝で、高校入学後の公式戦では初となる本塁打を放つと、3位決定戦の村上桜ケ丘戦でも、右翼席に2点本塁打をたたき込んだ。この試合では2番手投手としてマウンドにも上がり、攻守でチームの勝利に貢献。「個人の成績よりも勝ったことがうれしい」と自信に満ちた表情で話した。

夏の大会は春同様、下位打線に座ると思われる。本来なら主軸に座る長打力もあるが高橋哲は「自分が8番にいることで主軸でたまった走者を還すことができ、切れ目のない打線にできる」と下位に構えるやりがいを感じている様子だ。

甲子園出場の目標を実現するためにも「打率5割以上は打ちたい」と高橋哲。努力を続ける大砲の一振りに期待したい。【山岸章利】

高橋哲也(たかはし・てつや) 2001年(平13)8月20日生まれ、新潟市中央区出身。栄小-新潟柳都中。小2で野球を始める。小中はともに投手。高3春から一塁手。憧れのプロ野球選手は東北楽天の則本昂大投手。175センチ、82キロ。右投げ右打ち。

(2019年7月4日、ニッカンスポーツ・コム掲載)