日本相撲協会は24日、大相撲名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付を発表し、阿炎(25=錣山)が東小結に昇進して新三役を果たした。

名古屋場所の番付が発表され、東小結に昇進して新三役となった阿炎(左)と弟子の肩に手をかける師匠の錣山親方(撮影・佐藤礼征)
名古屋場所の番付が発表され、東小結に昇進して新三役となった阿炎(左)と弟子の肩に手をかける師匠の錣山親方(撮影・佐藤礼征)

明るい性格で人気者の25歳はこの日、名古屋市内のホテルで行われた会見に出席。「うれしいはうれしいけど、これで落ちたら変わらない。今まで通り自分を保てるかだと思う」と気を引き締めた。会見に同席した師匠の錣山親方(元関脇寺尾)は「持ってるものはすごいので(新三役は)遅かったかなと思う。(引退後に)元小結で終わらせるわけにはいかないので」と、さらなる番付上昇へ期待を寄せた。

地道な増量が実を結んだ。師匠譲りの突っ張り相撲を武器に、5月の夏場所で10勝5敗の成績を収め、2度目の敢闘賞を受賞。阿炎は「体重が少しずつ増えて前に出る力がついた。体重が増えても動きが落ちていない」と、自己評価した。身長187センチで、13年の入門時110キロ台だった体重は150キロに増えた。もともとは小食で体重が増えにくい体質だったが、血糖値を安定させる狙いを含め、朝稽古前や夜食でおにぎりを頬張り、1日6食で増量を図ったという。名古屋入り後は宿舎からほど近い「家系」ラーメン屋に通い詰めている。「昨日は昼と夜2回行っちゃいました」と話し、笑顔を浮かべた。

大相撲名古屋場所の番付表を手に笑顔を見せる新小結の阿炎(共同)
大相撲名古屋場所の番付表を手に笑顔を見せる新小結の阿炎(共同)

師匠からは愛情たっぷりの激励を受けた。錣山親方は「(阿炎は)もっと稽古で汗をかいたほうがいい。私は自分でも…と思うほど汗をかいたけど、関脇までしかいけなかった。こいつが大関にいけなかったら私の指導不足」と言い切った。将来的な大関昇進について阿炎も「そこは最終目標」と力強く話した。

ここ1年で大関貴景勝、関脇御嶽海、前頭朝乃山ら、若手力士が初優勝を達成した。阿炎は「同世代には負けたくない」とライバル心を隠さず、名古屋場所では「先場所は10番勝ったけど、それ以上勝って優勝争いに絡んで…優勝したいです」と、上位総当たりの場所に向けて意欲を燃やした。

錣山部屋からの新三役は、現師匠が創設してから11年九州場所の豊真将以来2人目。埼玉県からは春場所の北勝富士以来、戦後4人目となった。【佐藤礼征】

(2019年6月24日、ニッカンスポーツ・コム掲載)