西海岸を中心に植物由来の人工肉が定着しつつあるアメリカで、マクドナルドと並ぶ人気のファストフードチェーン「バーガーキング」がこのほど、植物肉ハンバーガーを開発し、販売することを発表しました。現時点ではミズーリ州セントルイス周辺の約60店舗で試験的に販売していますが、順調にいけば、今後は全米7200店舗全てで販売する予定だと言います。

動物由来の原材料を使っていないのに、見た目から肉汁、味にいたるまで牛肉のパテを忠実に再現しているハンバーガーの名前は「インポッシブル(不可能)・ワッパー」。主力商品の普通のハンバーガー「ワッパー」と全く変わらないものの、100%大豆由来の人工肉を使い、脂質は15%低く、コレステロールは90%カット。トランス酸脂肪も含まれていないとのこと。ただし、値段は通常のワッパー(日本円で約500円)よりも1ドル(約110円)高い設定となっています。

バーガーキングの普通のワッパー。これと見た目も味もそっくりな植物由来人工肉の「インポッシブル・ワッパー」が試験発売されている
バーガーキングの普通のワッパー。これと見た目も味もそっくりな植物由来人工肉の「インポッシブル・ワッパー」が試験発売されている

バーカーキングの担当者は「毎日ハンバーガーを食べたいが、毎日が牛肉である必要はないと思っている人たちに試してもらいたい」と話しています。また、実際に「インポッシブル・ワッパー」を食べた人たちからは「牛肉を使っていないなんて信じられない」「ワッパーそのもの」と大好評で、将来的には日本を含む米国以外の国でも販売される可能性も十分にありそうです。

「インポッシブル・ワッパー」のパテを開発したのは、食品テクノロジー企業インポッシブル・フーズ社。完全菜食主義のビーガン向けの商品開発というよりも、温室効果ガスなどを発生させる畜産業への依存を減らすことを企業目標に掲げており、ヘルシー志向の人が多く住む西海岸では、すでに市民権を得つつあります。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】