<練習試合:DeNA12-12韓国・KIA>◇26日◇沖縄・アトムホームスタジアム宜野湾

「ハマのスッパイマン」が、開幕ローテ入りへ大きく前進した。DeNAドラフト1位上茶谷大河投手(22=東洋大)が26日、韓国KIAとの練習試合(宜野湾)に先発。実戦2度目のマウンドで、2回1安打無失点に抑えた。梅好きな即戦力右腕。キャンプ中に出会った「梅つけ麺」をパワーの源として、実戦デビューから4イニング連続無失点と味わい深い活躍を見せた。

DeNA先発の上茶谷(撮影・狩俣裕三)
DeNA先発の上茶谷(撮影・狩俣裕三)

KIAの打者が、酸っぱい表情を浮かべてベンチに引き揚げた。上茶谷とバッテリーを組むのは「ハマのスッパマン」こと戸柱ではなく伊藤光。経験値ある捕手を相手に、何年も熟成させたかのような、味わい深い投球を見せつけた。

初回1死走者なし。初球を外角スライダーで空振りを奪うと、そこから2球続けて、外角直球で餌をまいた。見逃しストライク、ボールでカウント1-2とすると、最後も同じコースに、今度はチェンジアップ。大リーグのカージナルスなどにも所属した左打者ヘイゼルベイカーを片付けた。「タイミングを外せていたし、見逃しのストライクも取れていた。良かったと思います」と、実戦初解禁の変化球でも渋く決めた。

2回に実戦で初めて走者を許したが、落ち着き十分にけん制球を挟みながら、後続を断った。最速147キロの直球とスライダー、カットボール、チェンジアップを絶妙に練りこみ、2回を1安打無失点。デビュー戦となった20日ロッテとの練習試合(宜野湾)から4イニング無失点と、強烈なインパクトを与えた。三浦1軍投手コーチも「(開幕ローテ争いに)入って来るでしょ。競争ですけど。楽しみ」と太鼓判を押した。

好物の梅でパワー注入

元気の源は「梅つけ麺」にあった。キャンプ中、球場や宿舎からほど近いラーメン店「麺恋まうろあ」に6回も通った。「最初行ったときは、梅つけ麺が売り切れで、そこから通ってます」。休日や練習後に、疲労回復の効果があるクエン酸を注入。あくまで「つけ麺が好きとかでではなく、梅が好きなんです。理由はありませんよ」という。登板2日前の24日にも食べ、万全? を期した。

上茶谷がキャンプ中に6度も食したという麺恋まうろあの梅つけ麺
上茶谷がキャンプ中に6度も食したという麺恋まうろあの梅つけ麺

キャンプ最後の実戦を好投で締めくくったが「ローテ入りに向けて結果を残していかないといけない。調整とは言っていられない」と気を引き締める。「持っているものを全部出していけば、自信にもなりました」。今後、味わい深い投球術をさらに漬け込み、本物の味を目指す。【栗田尚樹】

▼記者も、昼食に「梅つけ麺」を食してみた。着丼と同時につけ汁からあふれ出る芳醇(ほうじゅん)な梅の香り。乗せられたしそが梅の味をさらに引き立たせている。麺はこしのある太麺。こちらも相性が良い。梅のまろやかな酸味が、いいあんばいで魚介と豚骨のダブルスープに合わさっている。店名の「まうろあ」はハワイ語で「永遠」の意味。上茶谷も永遠不滅の大投手を目指してほしいなんて思いながら、あっという間に完食した。

(2019年2月26日、ニッカンスポーツ・コム掲載)