気温が下がり、空気が乾燥する冬は、インフルエンザなど感染症への心配も高まります。予防のためには、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。

日本の伝統食品である「納豆」の健康価値をさまざまな角度から研究する、おかめ「納豆サイエンスラボ」第3回メディアセミナーがこのほど開かれ、感染症予防の観点からみた「S-903納豆菌」の可能性について発表がありました。「S-903納豆菌」とはタカノフーズが発見した納豆菌の一種で、免疫に対する機能を高めたものです。

継続した空腹時の摂取で効果

ウイルスによる感染症では、生体の力が勝っていると感染しても無症状ですが、ウイルスの力に負けると発症します。対策は2つあり、1つは抗ウイルス剤やワクチンでウイルスの力を抑え込むこと。もう1つは免疫力を高めて生体の力を強めることです。体内の免疫機能は約7割が腸内に存在するため、腸内環境を良好に保つことが感染症予防のカギになります。

そこで効果を発揮するのが、発酵食品「納豆」です。中部大学大学院工学研究科の客員教授で、薬学博士の林京子さんは「納豆および納豆菌は特にインフルエンザと花粉症への効果が期待できる」と話します。

マウスによるインフルエンザウイルスの感染実験では、毎日2回、感染前後の2週間の経口投与で、ウイルスの量が減少、抗体の量の上昇が認められました。また、花粉症では鼻水を抑えるほか、全般の症状緩和も期待できるという結果が得られています。

林さんは、1日複数回、毎日継続して摂ることを推奨。腸の吸収を考えると、他の食材と一緒ではなく納豆単体で、空腹時に食べることをすすめました。補食として、1回1パックを目安に摂るのが良さそうです。

加熱しても安心、死菌も効果あり

「加熱によって死滅する」といった話題が取りざたされたこともある納豆菌ですが、タカノフーズで納豆の研究開発に携わる小林知世さんは「納豆菌は非常に熱に強く、長時間煮込まない限り、死ぬことはありません。また、死菌にも一定の効果は確認されているため、全く効果がなくなるということもありません」と熱によって効果が左右されることはないと説明。また、「かき混ぜる回数にも影響はない」と話していました。

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