今年も数々の野球人が現役を引退した。コーチ、チームスタッフ、野球評論家など、プロ野球に携わる人もいれば、野球界を離れ、新たな分野に挑戦する人もいる。現役引退後に、飲食店の経営や営業に携わる野球人のセカンドキャリアに潜入した。【取材=久保賢吾】

店の前でオリジナル焼酎を手に笑顔の元巨人の香月さん(撮影・久保賢吾)
店の前でオリジナル焼酎を手に笑顔の元巨人の香月さん(撮影・久保賢吾)

ユニークなネーミングの酒と上質な肉で満足させる。5月末、元巨人の香月良太さん(36)が、東京・恵比寿に「となりのおくさん」をオープンした。店名の由来は、16年オフの引退後に勤務する「株式会社ネットワークファッション」が販売する麦焼酎。当初は酒の企画やPRが主な業務だったが、同社の酒を販売する店の責任者を任された。

現役時代、投球術で打者を幻惑したように、メニューもバリエーションにあふれる。当初は酒に合ったおばんざいを売りにしたが、「お客さんのニーズに応えたいと思った」と現在は肉が売り。柳川高の後輩が営む畜産農家から佐賀牛を取り寄せ、最高級A5ランクのイチボステーキ(2400円)は注文が殺到するほどの人気がある。

武器だったシュートのように、客の心も鋭く突く。お勧めの「となりのおくさん」で割ったレモンサワーはレモンを丸ごと凍らせ、キンキンに冷えた状態で提供。焼酎のシリーズの「いまかの」、「もとかの」を半々入れ、ソーダで割った「修羅場」はこの秋に発案した。クスッとした笑いとともにおいしい酒を追求する。

忘年会シーズンを前に、鍋料理を新メニューに加えた。黒豚のしゃぶしゃぶで、3200円のコースから予算に応じた3種類のコースを用意した。香月さんは「食事は楽しい時間なので、お客さまに喜んでいただけるものを提供したいです」と目を輝かせる。

(2018年11月27日付日刊スポーツ紙面掲載)