東京都心にある千代田区の日比谷公園に、スポーツを楽しむ人たちの拠点を目指す施設「スポーツステーション&カフェ」が完成、23日にオープンした。「ランナーの聖地」と呼ばれる皇居のほか、2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックのマラソン、競歩のコースにも近い。皇居ランナーやスポーツ愛好者だけでなく、オリパラの機運醸成に向けた、一般客の利用も見込める内容にしつらえた。

SPORTS STATION&CAFEで撮影に応じる小池百合子都知事(左)と高橋尚子さん(撮影・中山知子)
SPORTS STATION&CAFEで撮影に応じる小池百合子都知事(左)と高橋尚子さん(撮影・中山知子)

日比谷公園は今年で開園115年の歴史を持つ。官公庁やビジネス街に近いが、緑も多く都民の憩いの場だ。今回、都公園協会の建物を施設に改装し、同協会とアシックスジャパンが運営。1階のカフェではサラダボウル(900円)などのヘルシーメニューやお酒も飲めるカフェ、64年東京大会記念グッズなどの展示ギャラリーを併設。ランナー向けの有料ロッカー(1回400円)も設置した。

64年大会の記念グッズなどを展示するギャラリーも
64年大会の記念グッズなどを展示するギャラリーも

3階には、Wi-Fiやコンセント(10席)を備えた「ヒビヤパークビズ」を設け、テレワークなど仕事の場としても活用できる。このような形式は、都の公園では初の試みという。

3階のスペースにはコンセント付きの机がありテレワークでも使える
3階のスペースにはコンセント付きの机がありテレワークでも使える

21日の記念式典では、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんが「(20年大会の)マラソンは近くを走るし、競歩のコースも近い。応援で盛り上がる場所になるのは間違いありません」とあいさつ。小池百合子知事は「日比谷公園は今、さまざまな形でグランドデザインを描いている。20年大会成功に向けた拠点の1つになってほしい」と述べた。都民のオアシスに、東京大会を盛りあげるスポーツ拠点の顔も加わる日比谷公園。大会後のレガシー(遺産)を見据えた再整備が進んでいる。【中山知子】

◆日比谷公園 1903年(明36)6月1日に開園した、日本初の洋風近代式公園。幕末まで松平肥前守などの大名屋敷地で、陸軍練兵場で使われた時代もあるが、日本の「公園の父」といわれる本田静六が設計案をまとめ、公園として整備した。約16万平方メートルの園内には、公会堂や野外大音楽堂、花壇のほか、洋食レストラン「日比谷松本楼」などの飲食店もある。

(2018年11月24日付日刊スポーツ紙面掲載)