DeNAから5位指名を受けた青藍泰斗・益子京右捕手(18)が“カレー断ち指令”を受けた。10日、宇都宮市内で契約金3000万、年俸500万円(推定)で仮契約をかわした。背番号は32に決定。二塁送球タイムは1秒72という強肩から「益子キャノン」と言われる。

吉田孝司スカウト部長は「1秒台を出すだけでもすごいタイム」と驚く。担当の河原隆一スカウトも「5年後にはレギュラーをとってほしい」と将来性を高く評価した。

DeNAと仮契約を結び、送球ポーズをする青藍泰斗・益子捕手(撮影・栗田成芳)
DeNAと仮契約を結び、送球ポーズをする青藍泰斗・益子捕手(撮影・栗田成芳)

ソフトバンク甲斐に負けず劣らずの強肩だが、本家には脱帽する。「日本シリーズを見ていて比べものにならないくらい次元が高い。肩、動き、コントロールすべてが美しい」とみとれた。動画を見ながら「似せている段階」と理想像にかかげる。その一方で「甲斐選手が現役のうちに、超えられる選手になりたい。キャノンみたいにつけてもらえるような、すごい選手になりたい」と野望も抱く。

ただ、1月の新人合同自主トレを前に、大きな壁が立ちはだかる。夏の大会を終えた7月に比べ体重は約5キロ増え「太り気味。球団の方から『やせろ』と言われました。お母さんがつくるカレーがうますぎて…」。

女手一つで育ててくれた母・恵子さん(52)のつくるカレーにとにかく目がない。その量は1食2キロ。恵子さんは「中学時代は1日6合食べてました」と証言する。高校の寮を離れ、自宅通いに戻ると「毎食カレーでいい」とオーダー。大鍋でつくってくれた愛情たっぷりのカレーが、体重増で一時封印を余儀なくされた。

白米を減らし温野菜で満たす日々に「もの足りないですが入寮のときには、万全の体形で臨みたい」とスリム化宣言。来年1月に入寮したあかつきには、24時間完備された球団伝統の青星寮カレーが待っている。

「食べてみたい。それまでの我慢です」とつばを飲み込む。すべては野球で成功し親孝行するため。我慢の先には、送球1つでプロ野球界を騒がす刺激的な日々が待っている。

(2018年11月10日付日刊スポーツ紙面掲載)