<全国高校野球選手権:常葉大菊川3-0日南学園>◇14日◇2回戦

 常葉大菊川(静岡)のエース右腕、漢人(かんど)友也投手(3年)が「たこ焼きパワー」で、わずか88球で完封勝利を飾った。ストライクゾーンぎりぎりのスライダーとフォークで打ち気を誘い、7安打を浴びながらも「狙って」4併殺。三塁を踏ませぬ快投を涼しい顔で振り返った。「監督から『球数を少なく』と言われてきたので、甲子園で出来てうれしいです」。

日南学園対常葉大菊川 日南学園に完封勝利し笑顔を見せる常葉大菊川・漢人(撮影・横山健太)
日南学園対常葉大菊川 日南学園に完封勝利し笑顔を見せる常葉大菊川・漢人(撮影・横山健太)

 身長180センチで体重62キロ。ピンストライプのユニホームが、細身の体を一層、際立たせる。7回途中7失点と打ち込まれた7日の1回戦直後は59キロまで落ち込んだが、それを救ったのが大阪名物だった。「たこ焼きが楽しみで、毎晩20個食べています。『ふわとろ』の食感で、おいしいです」。宿舎近くの店で買い込むのが日課となり、体重は61・5キロまで回復。9回にこの日最速の138キロを記録するなど、体力も戻った。

 誕生時の体重は2300グラム。すくすくと身長は伸びたが、ずっと太れない体質だった。体重増を目指し、食事量を増やしたこともあったが逆効果。「食べてもすぐ戻してしまい、胃腸炎になりました」。現在は、好きなものを複数回に分けて食べるよう心がける。

 1回戦は不本意な投球で1人、蚊帳の外だった漢人。勝利の立役者となったこの日のたこ焼きの味は、格別なものとなったに違いない。【鈴木正章】

 ◆省エネ完封 常葉大菊川・漢人が88球で完封。夏の大会で88球以下の完封は12年神原(東海大甲府=対成立学園で88球)以来。

(2018年8月15日付日刊スポーツ紙面掲載)