サッカー日本代表が3日未明、ワールドカップ(W杯)ロシア大会決勝トーナメント1回戦で対戦するベルギーは、「美食の国」として知られる。日本人になじみ深いベルギーワッフルやチョコレート。両国間の食文化の絆は強く、関わりの深い企業も多い。「ここ一番では手を抜かない」。ベルギーのお菓子作りに、国民性を垣間見ることができそうだ。

ここ一番では手を抜かない

 強烈な甘い香りが、心をくすぐる。JR大阪駅にあるワッフル専門店「マネケン」には、いつものように行列ができていた。ベルギーワッフルは、洋菓子メーカー「ローゼン」(大阪府吹田市)が始めた。創業者の故荒木勲氏が、ベルギー・ブリュッセルの街角で焼きたてのワッフルを食べて、魅了された。

「マネケン」のワッフル(撮影・松浦隆司)

 ジャリッとした独特の食感を生み出す砂糖「パールシュガー」は、ベルギーから輸入し、「日本人が食べやすいようにアレンジした」(同社)。1986年に「マネケン」1号店を大阪に出店後、今では全国に33店舗を運営する。今年6月、同社の荒木典雅社長にベルギー政府から「ベルギーの食文化を日本に広め、創業者が始めた事業をさらに拡大・発展させている」として、レオポルト2世勲章オフィシエ賞が贈られた。ベルギー大使館との交流も深い。日本が初のベスト8を懸けるベルギー戦へ、同社広報は「日本もベルギーもどちらも応援したい」と話した。

行列ができるJR大阪駅にあるワッフル専門店「マネケン」

 洋菓子のエーデルワイス(神戸市)は、ベルギーの洋菓子店「ヴィタメール」と技術提携を結んでいる。ヴィタメールは、ベルギー王室御用達の菓子店で1910年創業の老舗。創業者アンリ・ヴィタメールの信念は「選び抜かれた最高の素材で仕上げたおいしさを目の届く範囲だけに届けたい」。洋菓子の国際コンクールで優勝したエーデルワイスの比屋根毅会長を信頼し、90年、阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)に日本1号店の出店を決めた。ヴィタメールの初の海外店だった。

ベルギーの洋菓子「ヴィタメール」のチョコレート(撮影・松浦隆司)

 同社のパティシエがベルギーを訪れ、チョコレートなどお菓子作りの高い技術を習得する。ベルギーからの研修も受け入れ、お互いが切磋琢磨(せっさたくま)する間柄だ。お菓子作りの効率化は進むが、手作業も多い。美食の国といわれるベルギーのパティシエの印象について同社広報は「ここぞという時、おいしさを追求する姿勢がすごい。手を抜かない」と明かす。お菓子作りとサッカーの舞台は違うが「お互いがいいところを出し切る最高の試合をしてほしい」とエールを送った。【松浦隆司】

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