近頃の子ども用サプリメント商品の増加に伴って、安易なサプリメント利用が拡大することが懸念されている。サプリメントは医薬品とは異なり、子どもに対する効果や安全性をみるような試験は実施されていないのが現状だ。
このほど、東京・墨田区が主催した食育イベントで「ちょっと待って! こどものサプリ」と題した講演会が行われ、薬剤師でアドバイザリースタッフ研究会代表世話人の千葉一敏氏が、サプリメントに頼らず、毎日バランスのよい食事を摂ることの大切さや、食品を買う際のパッケージ表示の見方などについて説明した。
効果は実証されていない
千葉氏は「サプリメントの効果や影響については十分に解明されていないのが現状です。特に、子どもの栄養バランスを整えるために、軽はずみにサプリメントを利用するのはおすすめできません」と警鐘を鳴らしている。また、サプリメントの利用が栄養素の補足どころか、逆に過剰摂取につながる恐れもあるという。
最近では、国体出場を目指すアマチュアのトップ選手からドーピングについての相談も多いようだ。「ドーピングフリーを保証している製品はほとんどありません。そうなるとますます食事が重要になります。体は毎日の食事から作られ、体を動かすのも、身体機能を調整するのも食事です」(千葉氏)。疑問があれば、自己判断しないで専門家に相談することを勧めた。
同講演会を企画した墨田区保健所生活衛生課食品衛生係で管理栄養士の中井あゆみさんは「国立健康・栄養研究所の調査で、子どもの安易なサプリメント利用が拡大しているという結果が報告されていました。墨田区保健所でも、お子さまのサプリメント利用に注意を促し、バランスのよい食事の摂取を啓発したく今回のテーマを選びました」と話した。
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