東京学芸大学アメリカンフットボール部「SNAILS」はフィジカル強化のため、10年前から練習後の食事にケータリングを利用し、肉体強化に励んでいる。

東京学芸大学アメリカンフットボール部「SNAILS」

 午後9時過ぎに練習が終わると、選手は食事会場となっている教室へ。毎回ご飯、お肉中心の主菜2種類、副菜2種類、汁物の献立が用意されており、この日は以下のメニューだった。

この日のケータリングメニュー。各選手とも「マイ食器」を持っており、淵上さんらニュートリションユニットが盛りつける。食べ終わったら各自で洗って片付ける

・ポークソテートマトソース
・ベーコンとキノコの塩昆布パスタ
・ブロッコリーとゆで卵のサラダ
・切り干し大根と小松菜の煮浸し
・ご飯(目安は600グラム)
・みそ汁

「練習後すぐの食事はありがたい」と話す藤井基弘主将(中央)

 山口県から上京し、1人暮らしをしているOL藤井基弘主将(3年)は「外食するとお金もかかるし、自炊も時間的に厳しい。野菜もしっかり摂れるので、この環境に感謝しています」。現在185センチ、115キロ。入学時から35キロ増に成功したのも「練習後すぐの食事のおかげ」と話した。

ご飯をよそる淵上美咲さん

10年前に導入、食生活見直し

 東京学芸大は、教育学部しかない国立の“教員養成大学”。高校でのアメフト経験者はほとんどおらず、今年も4学年74人のうち2人しかいない。「体を大きく」が課題なのは10年前も今も同じ。当時、「サイズ感のない学生たちの食生活を正そう」(山田豊監督)と仕出し料理店と提携したのが始まりで、今では食事までをトレーニングとしている。

ナイター照明の下で練習するSNAILS

 成果は出ている。「ラインマンだけでなく、他のポジションの選手も体を強く大きくすることに積極的になりました」(山田監督)。チームを切り盛りする主務の保坂実生さん(4年)は「他大学に比べるとまだひと回り小さいですが、選手同士の会話に食事や栄養の話が自然と出たり、体重管理したりするようになっています」と説明した。

きれいに並べられたSNAILSのヘルメットと防具

学生主体の運営、女性スタッフ44人

 2015年に関東学生1部リーグに昇格したチームは現在、その中の下位リーグBIG8にいるが、今秋のTOP8昇格を目指し、厳しいトレーニングを積んでいる。練習内容は当然のことながら、「そのための組織作りも学生主体で取り組むのが、SNAILSの特徴」(松並憲生ヘッドコーチ)。選手以外のスタッフが52人、うち女性が44人もおり、そのうちスポーツトレーナーは「ストレングス」「メディカル」「ニュートリション」の3ユニットに分かれ、選手の食事管理、体組成計測・管理をしている。

スタッフに女性が多いのもSNAILSの特徴

 食事を管理するニュートリションユニットは3年前に立ち上がった。家庭科教諭を目指す淵上美咲さん(3年)は、独自でスポーツ栄養の勉強会などに出席。そこで得た情報を月2回、食事の時間に開催する栄養講習会で部員にフィードバックしている。

 この日の講習会では「この中で緑黄色野菜は何か?」「5・6月が旬の食材は何か?」といったクイズ形式で選手の興味をひき、少しでも意識を高め、知識定着につながるような工夫をこらしていた。

食事をしながら、淵上さんの講義を熱心に聞く選手たち

 さらに、昨年から補食を強化。日中いつでも食べられるよう「パワーボール」と呼ぶ小さなおにぎりを作っている。保護者やOBにSNSなどで呼び掛け、米を提供してもらったり、合宿時にはカステラやようかん、果物など多くの支援があるのもSNAILSの特徴だ。

 淵上さんは「フィジカルの根源は食事にある」ときっぱり。体を大きく、強くするには、食事への意識向上が不可欠。選手のために、チームのために、できるサポートは惜しまない。

OBが協力も
 ケータリングで食事を提供しているのは、スポーツフード専門会社のメルコーポレーション。「野菜多め、タンパク質多めと希望されているので、それにそった献立を考えます」と、OBの照屋幸輔さん(28)が直接配達するときもある。照屋さんが学生時代にケータリングが始まり「すごくありがたかったのを覚えています」。その思いを今は、後輩に味合わせている。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】