19年ラグビーワールドカップ日本大会の開幕(9月20日)まで500日となった8日、「泣き虫先生」の熱いげきがグラウンドに響いた。ドラマ「スクール☆ウォーズ」で熱血教師・滝沢賢治役を演じた俳優山下真司(66)が、開幕9連敗と苦戦が続くスーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズの都内での合宿を訪問。ドラマのモデルとなった京都・伏見工出身のSH田中史朗(33)、内田啓介(26=ともにパナソニック)に12日のレッズ戦(東京・秩父宮)での初勝利を託した。

サンウルブズのSH田中(右)、内田(左)にメンチカツカレーを差し入れした山下真司
サンウルブズのSH田中(右)、内田(左)にメンチカツカレーを差し入れした山下真司

 赤いチームジャージーに袖を通した熱い男が、唇を震わせるように“教え子”に問うた。

 山下 サンウルブズの今年の目標は5位以内と言っていたのに、どうしてこんな結果になるんだ? お前たち、悔しくないのか!

 田中 悔しいです!

 山下 内田は?

 内田 悔しいです!

 山下 よし。俺はこれからお前たちを殴る!

 歯を食いしばった2人をよそに、名シーンを演じ切った山下は満足そうに拳を緩めた。差し出したのは「メンチカツカレー」。12日のレッズ戦の応援サポーターとして、勝利への“カツ”を2人に注入した。

 開幕から勝利が遠いチームだが、ラグビー好きの山下らしく、スーパーラグビーで1勝する難しさは理解している。それだけに、国内最終戦での勝利を期待する言葉には力がこもった。

 「ラグビーは人生そのもの。ボールに執着しないと勝てない。人生もそう。選手は諦めていないし、12日はファンの記憶に残るような、熱い試合で結果を出して欲しい」

 伏見工時代に保健の授業でドラマを見たという内田は、山下の熱を滝沢監督のモデルとなった山口良治氏と重ね「本物よりも威圧感が強かった」。気合を入れ直した田中は「ファンの人に喜んでもらえる結果を出したい」と勝利を誓った。

 約30分間の熱血指導。山下が最後に「信は力なり!」と締めくくると、2人は表情を引き締め、グラウンドへと駆け戻った。【奥山将志】

 ◆スクール☆ウォーズ 84年10月から85年4月までTBS系列で放送。伏見工ラグビー部を描いた学園ドラマ。山口良治監督をモデルにした熱血教師役を山下真司が、平尾誠二氏をモデルにしたエース役を四方堂(しほうどう)亘が務めた。麻倉未稀の主題歌「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」も大ヒットした。

(2018年5月9日付日刊スポーツ紙面掲載)