女子アジア杯に臨んでいるなでしこジャパンが8大会連続のワールドカップ(W杯)出場権を獲得しました。2016年リオ五輪アジア最終予選で敗退してから約2年。新たに就任した高倉麻子監督のもとで、なでしこ復活への第1歩を踏み出しました。

アンマンの街を背に練習する日本代表(2018年4月9日撮影)

専属シェフ同行せずホテルで食事

 開催地は中東ヨルダンの首都、アンマン。スタジアムの入り口では金属探知機を使った入念なチェックが行われ、武器を持った軍の兵士が数メートルごとに周囲を囲んで不審者に目を光らせるという厳重な警備のもとで大会は行われています。日本では見慣れない光景と雰囲気。選手たちもまた慣れない異国の地での生活にやや戸惑いもあるようです。

 ひとつは食事面。今回、日本は専属シェフを同行させておらず、食事は宿泊するホテルのものを食べています。長くホテルに滞在している私もそうですが、こちらでは食べ慣れた白米はもちろん、日本とは少し味付けが違う料理が多いです。少し酸っぱい味付けがされていたり、個人的な感覚で言うと、タイ料理に近いような感じかもしれません。ホテルの食事や、スーパーを見ているとパンやチーズの種類は多く、温暖な気候を生かしたオリーブやフルーツも豊富にあります。

昨年11月の遠征で慣れたはずが…

 なでしこは、そういった中東での戸惑いに慣れるため、昨年11月にヨルダン遠征を行い、今大会でも使用するスタジアムでヨルダン代表と親善試合を行いました。しかし、ある選手は「11月に来た時は口に合うと思っていたけど、今回は少しまた違う」と漏らしました。チームは持ち込んだ炊飯器でお米を炊くなどの処置はしており、選手らはそれぞれ好みの調味料などで味付けして食べているそうです。めったに外出できず、ほぼホテル暮らしの選手にとって食事の息抜きは大切かもしれません。

 見慣れない光景と言えば、もうひとつ。この国では、子どもたちによる凧(たこ)あげが大人気。日本ではお正月の風物詩ですが、こちらでは学校も終わる夕方になると、アンマンの空にははたくさんの凧があがります。日本の初戦、ベトナム戦でもスタジアムから確認できるだけで9つの凧。スタジアムの変わった韓国戦でもポツポツと確認することができました。現地の方に聞くと、アンマン市内には谷と丘が多く、風も強い。そうした地形を生かし、子どもたちは丘の上や、住宅街のど真ん中からでも凧をあげるそうです。

 アンマン有数の観光地でもある歴史的な城塞(じょうさい)、アンマン・シタデルのある丘の上にも、たくさんの子どもたち。その中に混ざって私も体験してみましたが、風が強いので、一生懸命走らなくても、その場にいるだけで凧は勝手に空に舞い上がっていきます。実に省エネ。そして値段も1JD前後(約150円)とリーズナブル。キラキラした顔で凧を操る子どもたちの姿は印象的でした。

 慣れないことも多いヨルダン。そんな異国の地で、なでしこが2連覇を果たす姿が見られることを願っています。【松尾幸之介】

◆松尾幸之介(まつお・こうのすけ) 1992年(平4)5月14日、大分県大分市生まれ。中学、高校はサッカー部。中学時は陸上部の活動も行い、全国都道府県対抗男子駅伝競走大会やジュニアオリンピックなどに出場。趣味は温泉めぐり。

(2018年4月14日、ニッカンスポーツ・コム掲載)