<センバツ高校野球:東海大相模8-1静岡>◇29日◇3回戦

 「わんぱくな1発」で8強一番乗りを決めた。東海大相模(神奈川)が静岡に快勝した。最終登録で滑り込んだ渡辺健士郎内野手(3年)が先制2ランを含む3安打4打点の大暴れ。12安打の猛攻で8-1で勝利し、同校春夏通算40勝を挙げた。

2回表東海大相模2死三塁、渡辺は2点本塁打を放つ(撮影・渦原淳)
2回表東海大相模2死三塁、渡辺は2点本塁打を放つ(撮影・渦原淳)

小学生時代は相撲、野球で活躍

 タテジマが誇る横綱スラッガーが試合の流れを変えた。両軍無得点の2回。東海大相模・渡辺がチェンジアップを捉えた。「切れるなよ、入ってくれ」。長い滞空時間の末、打球は右翼ポールを直撃。通算37号、公式戦4本目のアーチを含め3安打4打点の大活躍だ。「最高の形で走者をかえせて良かった」と控えめな笑顔で振り返った。

 小学校6年生で178センチ、85キロ。「食べることが大好きです!」と、おやつ代わりに納豆を3パック平らげてきた。有り余るパワーを発散させるため、両親のすすめで小4からわんぱく相撲を始めた。「全然興味がなかった」(渡辺)が団体戦であっさり優勝。並行していた野球でも場外弾を放ち、地元の東京・北区ではちょっとした有名小学生だった。

練習の成果が勝利に

 東海大相模でも長打力を買われ、昨秋の新チーム結成後は4番を任された。しかし、年明けの紅白戦で結果が出ず第1次登録ではメンバー漏れ。ケガ人が出たこともあり最終登録で滑り込んだ。この日は5打席とも走者がいるラッキーボーイで「人生でそんなこと言われたことがないので…。良かったです」と照れ笑いした。怒られ、泣きながら練習した成果がやっとチームの勝利につながった。

 母の誕生日には欠かさず「おめでとう」と告げ、母の日には「ホームランを打つね」と言ってきた。心優しい渡辺だが、試合後のお立ち台では「優勝に導けるよう精いっぱい頑張りたい」と頼もしかった。「気は優しくて力持ち」のスラッガーがチームを頂へ引っ張る。【和田美保】

(2018年3月30日付日刊スポーツ紙面掲載)