昨年の都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会で神奈川選抜として優勝し、最優秀選手にも選ばれた田中力(15=神奈川・坂本中3年)が、大会の思い出を語った。昨年秋には、史上最年少の15歳で日本代表候補にも招集され、次世代のエースとしての呼び声も高い。食事、大会から学んだこと、そして先輩として現役中学生に送るエールとは?【聞き手・戸田月菜】(第31回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2018プログラムより転載)

えとき

フルーツ好きで牛乳苦手

 -食事で気を付けていることは?

 田中 サラダとフルーツが結構好きなので、1日の食事のどこかには必ず取り入れています。フルーツはマンゴー、ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーなどが好きですね。好きなのもあって、欠かさずに食べています。

 -反対に苦手な食べ物はありますか?

 田中 牛乳が苦手ですが、ヨーグルトは食べられます。U14日本代表に選ばれて代表合宿で食事についての講座があって、なんとなくはバランスの良い食事が大切なんだなとはわかっていました。U16日本代表に選ばれたときにも同じような講座があって、真剣に食事にも気を使わなきゃいけないなと思うようになりました。タンパク質、サラダ、乳製品、フルーツ、小鉢…バランスよく食べることを頑張って気を付けています。

 -バランスに気を付け始めて、効果はありましたか?

 田中 疲れの残り度合いが全く違います。今までは大会が終わって筋肉痛が3日間続くこともあったんですが、今では筋肉痛が次の日に残るかどうかですね。回復が早くなったなと感じています。

 -今の身長は187センチ。昔から心掛けていることはありますか?

 田中 僕の場合、勝手に体が午後10時にはシャットダウンしてしまうんです。夜更かしをしないルールが自分の中でできています。よく寝て、バスケットボールでしっかり運動していたからかもしれません。小学4年の頃は背もクラスで真ん中くらいで、決して大きい方ではなかったんですよ。筋トレも好きではないのですが、少しずつしています。「筋トレをすると身長が止まるぞ」といろんな人に言われますが、むしろ僕の場合は伸びたように思います。しすぎるともちろんよくないだろうと思いますが、僕の場合は筋トレをほどほどにやってプロテインを飲んでいました。

えとき

 -今後の目標は?

 田中 身長は192、3センチくらいまで伸ばしたいですね。やっぱりバランスの良い食事と睡眠が、体を作る上で大事だと思います。昨年日本代表の合宿に参加して、フィジカルの強さがまだまだ足りないと思いました。これからも体を鍛えて、強いバスケットボール選手になりたいと思います。

「死ぬほど練習しろ」

 -田中選手の都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会の思い出というと

 田中 楽しいことばかりでした。2年生の時には優勝したんですけど、それも気づいたら優勝していたという感じで。緊張もなく、楽しんで試合に入れた印象があります。今でも一緒にバスケットボールを練習している仲間も出来ました。

 -2年生の決勝では34得点を挙げて最優秀選手にも選ばれましたね

 田中 選ばれてもちろんうれしいですが、自分の中では最優秀選手に選ばれることは最低ラインでした。負けず嫌いなので、取りたい、負けたくないとの思いが強いんです。取れなかったら相当落ち込んでいただろうなと思うくらい、自分に厳しくバスケットボールをやっています。最優秀選手のトロフィーは今でも家に大切に飾っています。小学生の頃に横須賀市の大会をたくさん勝てたことで、勝つことの気持ちよさを味わったからかもしれません。

 -神奈川県選抜で学んだことは

 田中 メンタルトレーニングや1対1での練習が多かったの、選手のスキルが高いなと感じていました。自分も頑張らないといけないと感じましたし、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)できました。

 -大会を通して感じたことは

 田中 たくさんのお客さんに応援されていることを感じましたね。たくさんの人から写真や手紙を頂いて、感謝の気持ちを込めて優勝しなければと燃えました。反対に、迷惑を掛けてはいけないなとの責任も感じましたね。1歩大人になれたと思えるきっかけでした。

 -本当に充実した大会だったんですね

 田中 はい。中学での大きなタイトルを取って、初めてこんなにバスケットボールが楽しくできたかなと思いました。

 -1、2年前の自分に会えるとしたら、どんな声をかけますか

 田中 「死ぬほど練習しろ」と言いたいですね。1年生の時にはあまり練習に力が入っていなくて、3ポイントシュートを100%外すくらいでした。2年生になって、キャプテンだった先輩がしっかり練習している姿を見て、自分も朝練にも行ける限り行くようになりました。3ポイントシュートも1試合で6、7本は入るようになりました。練習は本当に大切だなと感じました。

エトキ

 -1年半後には東京オリンピックもあります

 田中 東京オリンピックに出るために、そして自分が強い選手になるために、中学卒業後はバスケットボールの技術や体の強さを鍛えられる環境を選ぶつもりです。昨年初めて代表候補にも選ばれて、日本トップの選手たちとの力の差を感じました。ボックスアウト練習では吹っ飛ばされることもありました。1番感じたのはフィジカルの弱さですね。筋力も鍛えないといけないと思っています。

 -先輩として現役中学生にエールをお願いします

 田中 遠慮せずに自分はこんなことができるぞとしっかりと見せてほしいです。持ち味をアピールすることが大事だと思います。自分も、大会を見に来る人におもしろいバスケットボールを見せたいと思ってプレイしていました。頑張ってください。

◆田中力(たなか・ちから) 2002年5月4日、神奈川県生まれ。15歳。横須賀市諏訪小一横須賀市立坂本中。ポジションはスモールフォワード。米国人の父を持つ。187センチ、72キロ。