平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)スノーボード女子ビッグエア決勝が22日に行われ、一関学院高1年の岩渕麗楽(16=キララクエストク)が日本人最高の4位に入賞した。実家のある岩手県一関市東山町の東山地域交流センターではパブリックビューイングが開催され、定員350人を上回る約460人が集結。餅料理の種類が日本一といわれる同市らしく、金色の紙に包まれた黄金色のきな粉餅が500個も振る舞われ、大いに盛り上がった。

メダルを逃し涙する岩渕(撮影・黒川智章)
メダルを逃し涙する岩渕(撮影・黒川智章)

 岩渕の世界水準の技術に地元も酔った。1回目のキャブ900が成功し、館内の熱気は増す。その後、岩渕は大技バックサイドダブルコーク1080に挑戦するも、2回目は着地で手がつき減点。3回目は着地に失敗。それでも、岩渕が所属した東山中体操部の千葉玲子先生(60)は「スピードに乗っての宙返りは素晴らしい」。4位入賞を果たした16歳へ、盛大な拍手が送られた。

 一関市では、お祝い事には餅が欠かせない。この日は、応援会が地元産のもち米11升を用いて、金メダル獲得の願いを込めた金色のきな粉餅を大量に作り、集まった人たちに振る舞った。北上川流域の豊かな土地では良質な米が生産され、慶弔行事に欠かせないもち米も作られてきた。200種類を超える餅料理があり、秋には「全国ご当地もちサミット」も行われている土地柄だ。

応援会の鈴木勝市さん(撮影・秋吉裕介)
応援会の鈴木勝市さん(撮影・秋吉裕介)

 応援会の鈴木勝市さん(63)は「粘り気もあって香りもいい。岩渕選手も小さい頃から食べていたはずです」と語った。岩渕の祖母裕子さん(69)は地元の人たちの熱い応援に感謝し「本人は願いがかなわなかったから悔しいと思う。皆さんの応援がまだまだ必要です」と呼びかけた。

 東山町は、12年間で約1300人も人口が減少し、過疎化が深刻化している。だから、鈴木さんはこの日がうれしかった。「金メダルを取って欲しかったけど、過疎化が進む中で岩渕選手の活躍は明るいニュース。餅と岩渕選手のおかげで、地域は1つになれた」。もちろん、4年後の北京大会での金メダル獲得を願っている。【秋吉裕介】

 ◆東山町 岩手県南地域にあり、55年に東磐井郡東山村として発足し、58年町制施行。05年「平成の大合併」により一関市の一部となった。今月初めで人口は6733人。餅料理は沼エビをふんだんに使用した海老餅など。日本百景の1つである猊鼻渓(げいびけい)は、船下りを楽しめる観光地で、紅葉の名所でもある。

(2018年2月23日付日刊スポーツ東北版紙面掲載)