平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)に出場するスキーとスノーボードの米国代表チームには五輪期間中、専属シェフが帯同し、食事管理を行っている。27歳の女性シェフ、ミーガン・チャコスキーさんがこのたび、ABCテレビのインタビューで食事のサポートについて語った。

計3000食、万全サポート

 チャコスキーさんは大学卒業後すぐにチームに加わり、昨夏から専属として本格的に関わっている。期間中、選手、スタッフ含め約3000食の食事を一手に引き受け、1日3000~4000カロリーの食事を必要とする選手がコンディションや消費カロリーに応じて必要な栄養が取れるよう万全の体制でサポートしている。

平昌五輪のスキージャンプ会場
平昌五輪のスキージャンプ会場

 「高地でのトレーニングには、多くのカロリーと水分補給が必要。アルペンの選手はより多くのタンパク質が必要だし、クロスカントリーの選手は炭水化物を多めに」といったように、競技ごとに必要な栄養素が異なるため、選手に合わせた栄養管理を実施している。

 きめ細やかな対応で、アルペンスキー女子で3度目の五輪出場となるレジ・スティーグラーや、アルペンスキー男子でトリノ五輪複合とソチ五輪の大回転で金メダルに輝いているテッド・リゲティら強豪選手からの信頼も厚い。スティーグラーはトレーニングの合間に90分おきに食事をしなければならず、自己免疫疾患を抱えているためグルテンフリーの食事が必要。また、リゲティは、「カロリーは気にせず、必要な栄養素を取ることだけを考えている。ヘルシーで高タンパクな食事とたくさんの野菜を食べる」と選手によってニーズは異なるが、それにも対応している。

多くの食材で好きなもの選択

 食事はバイキング形式、メニューは高タンパク質、エネルギー源となる糖質、新鮮な食材がベースだ。ブリート(小麦粉で作られたトルティーヤに肉や米、豆など具材を巻いたメキシコ料理)やミートボールのサンドイッチ、みそジンジャー味のサーモン、テリヤキ味のステーキ、ローストチキンなどのメイン料理をはじめ、サラダや各種サンドイッチを自由に選べるバーも用意。パスタを希望する選手がいれば、好みの具材とソースでお好みのパスタも作る。

 また補食として、持ち運びができて、試合やトレーニングの合間に食べられるナッツ、オートミール、ココナッツ、チップス、アーモンドバターなど軽食も用意。「常に最大限の力を発揮できるよう、新鮮な食材をたくさん用意して、ビタミンやミネラルを補給できるように心がけている。選手に一番人気があるのは、米、フェタチーズ、アボカド、豆、サルサを合わせたフィッシュタコスです」。

スノーボード男子ハーフパイプで優勝した米国のショーン・ホワイト(撮影・黒川智章)
スノーボード男子ハーフパイプで優勝した米国のショーン・ホワイト(撮影・黒川智章)

昨夏から「韓国の味」も準備

 現地の食事に慣れさせるため、昨夏の韓国トレーニング時にはチームに帯同し、本大会と同じ食事を提供。本番で体調を崩したり、初めて食べるものに驚かないような環境作りを行ったりした。今年初めの韓国トレーニングに帯同した際には、地元の大型スーパーマーケットに出向き、大型カート3つに山積みの食材を買い込んだ。この五輪期間中は、新鮮な食材を地元で調達し、食事を作っている。

 精神面でリラックスができるよう、息抜きも必要として、ベーカリーとお菓子を準備している。「彼らは、トップレベルの一流選手であると同時に人間」と、冷凍庫にはアイスクリームも常備。甘い物が欲しくなった時には手作りのバナナブレッドや、ダークチョコレートで作ったチョコチップクッキーなども提供している。

 食事でのバックアップが強い米国を支えている。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】