ウインターカップ全国高校バスケットボール選手権大会(12月23日開幕、東京体育館、日刊スポーツ新聞社主催)に4年連続(17回目)で出場する市船橋(千葉)のキャプテンで、男子のU-18日本代表として、8月の「日・韓・中ジュニア交流競技会」を戦った保泉遼(3年=SG)は、181センチ、74キロと細身の体格だが、チーム一の大食漢だ。遠征中の食事を何度もおかわりするため、他の部員たちはいつまでたっても「ごちそうさま」を言えない。

 ある日、自分が1日にどれくらいご飯を食べているか母にたずねると、なんと7合近いことが判明した。

 保泉の1日の食事スケジュールは以下の通り。すぐにおなかが空くので、こまめに、そしてとにかく大量だ。

朝食…ご飯(茶碗に軽く1杯)、おかず、バナナ
学校到着…巨大おにぎり
朝練終了後…プロテイン
昼食…2リットルの保存容器にご飯を4~5センチほど敷き詰めた弁当。2時間目終了後にも少し食べる
練習前…巨大おにぎり
練習後…コンビニのおにぎりを2つ
夕食…ご飯(どんぶり2杯)、おかず
就寝前…おなかが空いたときはフルーツ

 5人家族の保泉家では毎日10合のご飯を炊き、そのほとんどを保泉が食べる。家計を預かるお母さんはさぞかし大変だろうと察するが、「もう慣れてるからか、何も言われません」と保泉は笑った。

小4でミニバス顧問から食事指導

 元々は好き嫌いが多く、「食事量もごく普通だった」と振り返る。ところが、ミニバスケットボールチームの顧問が担任するクラスに入った小学4年生が転機となった。主に給食の時間に好き嫌いなく、たくさんの食事をとれるようになるためのマンツーマン指導が始まったのだ。

 「いつも自分だけものすごい量を盛られましたし、牛乳も自分の分だけでなく先生分も飲むようにと言われました(笑)。納豆や魚介類など、嫌いで残していたものも食べられるようになりましたし、あの時があるから、たくさん食べられるようになったんだと思います」。

 ミニバスの指導者の助言を受け、小学5年生からスナック菓子と炭酸飲料は一切とっていない。愛飲していた清涼飲料水も、高校1年の時に大量の砂糖が含まれていることを知ってから飲むのをやめた。飲むのは水、お茶、練習中のスポーツドリンクだけ。あとは試合後に100パーセントジュースを飲むのみだ。自主練習で毎日200本以上のシュートを打ち込むストイックな性格が、食事面にも表れている。

夏の悔しさ胸にトレーニング、体重増

 関東大会王者として上位進出を目指したインターハイでは、初戦で飛龍(静岡)に48-52の逆転負けを喫した。「小さいチームでも勝てるということを全国で見せたかったんですが…。結果的に、同じくサイズのないチームに負けたということが一番悔しかったです」。

 エースの保泉は終盤に足をつってコートを離れ、その他の主力選手の運動量も落ちた。その反省からチームはインターハイ以後、控えメンバーも含め、トレーニングを充実させてきた。大量の食事をとるにも関わらず、体重が70キロ以上に増えなかった保泉も、10月頃から一気に4キロ増量、筋力アップに成功した。

 昨年のウインターカップは準々決勝に進出。今年はそれ以上を目指しているが、勝ち上がれば2回戦で洛南(京都)、3回戦で明成(宮城)との対戦が予想される強豪校が集まる厳しいゾーンに入った。「組み合わせを見た時は本当にびっくりしたけど、強い相手を倒して上がっていけるチャンスをもらえた。楽しみです」と保泉自身は前向きだ。キャプテン、そしてエースとして、高校最後の大会で完全燃焼する意気込みだ。【青木美帆】