ウインターカップ全国高校バスケットボール選手権大会(日刊スポーツ新聞社主催)が12月23日、東京体育館で開幕する。組み合わせ抽選会が16日に行われ、6年連続(7度目)で出場する男子の正智深谷(埼玉)は1回戦で福島南(福島)、勝てば2回戦で福岡第一(福岡)と対戦することが決まった。全国でも注目されるようになってきた正智深谷の目標は、2014年のベスト8を上回る好成績だ。

ウインター杯でベスト8以上を狙う正智深谷男子バスケットボール部

昨年から管理栄養士のサポート

 正智深谷の武器は豊富な運動量。足と体を駆使して激しく守り、力強いランニングプレーで得点を取る。毎日の練習も当然、ハードだ。

 2004年からチームを指導する田中美樹子トレーナーは、フィジカル測定などを行ううちに、190センチ前後の大型選手の体重が増えないことに気づいた。「選手や保護者に向けた栄養講習会を行ってはいましたが、専門家にサポートしてもらいながら、もっと積極的に選手の食事に介入しないと厳しいと感じるようになりました」。昨年、バスケットの経験を持つ管理栄養士の尾出翔子さんにサポートを依頼することにした。

 内容は、非常に手厚い。1つは大型選手を対象とした個人サポートだ。

 各選手が朝昼夕の食事の写真を尾出さんに送ると、カロリー量や足りない栄養素、それを補うためのおすすめメニューなどがまとめられた食事診断シートが返送される。毎日、より良い食事内容を選手が考え、実践できるようになっており、田中トレーナーは「取り組み始めて3カ月で、体重が5キロ増えた選手もいました」と振り返る。自宅通いの選手は保護者を含めて、食事内容を考えられるようになっている。

1年生(上)と3年生の食事診断シートを比べると、エネルギー量やアスリートに必要なタンパク質の量、品目数に大きく違いが出ていることがわかる(赤丸部分)

試合3日前から補食プラス

 また、個人サポートだけでなく、チームとしての取り組みも緻密だ。試合の3日前から練習前(エネルギーゼリーやカステラ)、練習後(おにぎり、プロテイン、オレンジジュース)、寝る前(チーズやヨーグルト)に補食をプラスする。

 試合当日も、試合開始時間を逆算して栄養摂取を行う。「例えば、試合が12時開始だとしたら、9時頃に会場に着いてからおにぎりを1つ食べます。朝食をしっかりとった上で、さらに試合中のエネルギーの枯渇を防ぐのです」(田中トレーナー)。さらに、試合直前にもエネルギーゼリーをとり、出場時間が20分を超える選手はハーフタイムにももう1つ食べる。試合後も、おにぎりやカステラ、オレンジジュースを補給する、といった具合だ。

 こういった取り組みの継続により、選手たちの体格、体力が変わってきた。

 「ダブルヘッダーの試合だと、1日に体重が2キロ以上減る選手もいましたが、1キロ以内に収まるようになりました。除脂肪体重が上がって体脂肪が減少し、年に2回行うフィジカル測定でも基礎運動能力が上がっています」(田中トレーナー)。

 194センチ、70キロという細身の体格で入部した中村吏(3年)は、現在は81キロまで増量した。「いい時と悪い時の波がなくなってきたし、当たり負けしないようになってきた」と変化を実感している。主将の常田耕平(3年)は「(食事改革が始まった)2年生の途中から急激に体重が増えた。体重やウエート(トレーニング)に結果として出るので、続けられるんだと思う」と話す。

自分で昼食の弁当を作った(左から)国分、中村、常田

寮生は自分で弁当作り

 寮生活を送る11人の選手は、昼食の弁当を自分で作る。レトルトの調味料やカット野菜などを有効活用して、朝食後の15分程度で手早く調理。取材日は、国分大雅(3年)は肉野菜炒め弁当を、中村はオムライス、常田は焼きうどんを作っていた。中村は尾出さんのアドバイスを受けて、野菜ジュースとチーズも加えている。

国分が作った肉野菜炒め弁当(上)、中村が作ったオムライス(左)、常田が作った焼きうどん

 細やかな栄養指導で培われた強い体に、技術と気持ちを乗せて、正智深谷は大きくジャンプアップするつもりだ。【青木美帆】