<SMBC日本シリーズ2017:DeNA5-4ソフトバンク>◇第5戦◇2日◇横浜

 小さな大魔神の胴上げ投手が、見えてきた。DeNA山崎康晃投手(25)が、8回2死から登板し、試合を終わらせた。リーグ戦も含めて今季初めてのイニングまたぎで、日本シリーズ初セーブ。負ければ終戦の大一番で、ピンチを招きながらも切り抜けた。明日4日の第6戦(ヤフオクドーム)から敵地で2連勝し、98年大魔神・佐々木主浩氏(49=日刊スポーツ評論家)以来の胴上げ投手となることを目標に掲げた。

9回表ソフトバンク2死満塁、山崎康(中央)は最後を締め、大喜びのベンチを背に雄たけびを上げる(撮影・松本俊)

 いつもはガッツポーズで終えるマウンドから、走ってベンチに帰った。山崎康は8回2死一、二塁の場面で、難敵・柳田を空振り三振に仕留めると、9回へすぐに切り替えた。今季初めてのイニングまたぎ。ブルペンで「柳田まで打席が回れば、あるぞ」と言われ覚悟を決めていた。ベンチで震える手を落ち着かせ9回。先頭今宮に安打を許し、2死満塁のピンチを招いても「野球はメンタル」と気持ちは揺るがない。明石を代名詞のチェンジアップで一ゴロに仕留めた。

 2度の登場曲に、ヤスアキジャンプも2回跳んだスタンドは最高潮。お立ち台では「本当に横浜スタジアムの声援が背中を押してくれた」と感謝の気持ちを示した。前夜は勝ち飯を食べていた。母親と2人で焼き肉店へ行き「いっぱい食べて、明日頑張ろう」とニンニクを大量摂取。母の笑顔に勇気づけられ、ニンニクで精をつけ、大舞台でスーパーな存在感を示した。

 自らの腕で、取り返した守護神の座。4月に2度のセーブ機会を失敗し、パットンと入れ替わり、リリーフに配置転換された。守護神失格の烙印(らくいん)を押されたのは、ラミレス監督の親心でもあった。「自分の手でポジションを勝ち取れ」。結果で示すしかないセットアッパーとしての日々。寝られない夜も過ごした。4月28日広島戦では、ファンの前で涙を見せ「また戻っていけるようにしたい」と決意の宣言。15試合連続無失点で、5月20日の試合前、抑え復帰を伝えられた。

 定位置を取り戻しても満足はしない。「絶対的な守護神というところまで上り詰めたい」。頭の中には、あの佐々木氏の姿を思い浮かべる。「映像でしか見たことがないけど、この境遇に感謝したい。いいイメージは必要。毎日寝る前に、胴上げ投手として投げる姿を思い描きたい」。19年前、胴上げ投手となった大魔神に自分を重ね、福岡へ乗り込む。【栗田成芳】

 ▼山崎康が8回2死から登板。9回も投げてセーブを挙げた。山崎康はプロ3年目で公式戦通算96セーブ、ポストシーズン通算では6セーブ目だが、回をまたいでマークしたのは初めてだ。日本シリーズで回をまたいでのセーブは11年第4戦のファルケンボーグ(ソフトバンク)が中日相手に2回を投げて以来。

(2017年11月3日付日刊スポーツ紙面掲載)