横浜F・マリノスのDF中沢佑二(39)が、25日のホーム神戸戦で偉業に挑む。今季初の4連勝が懸かる次節で90分出場すれば、フィールドプレーヤーでは浦和MF阿部と並ぶ、J1歴代1位139試合連続フル出場となる。接触プレーの多いセンターバックながら、記録の始まった13年7月6日の大分戦から約4年間で受けた警告はわずか2枚。そんな中沢の「食」のこだわりに迫った。

横浜DF中沢(2017年2月25日撮影)
横浜DF中沢(2017年2月25日撮影)

甘い物、酒は口にせず

 勝利の美酒に酔うこともなければ、自分に甘えて甘いものを食べることもない。来年2月で40歳となる「鉄人」中沢は、ストイックな食生活を送っている。

 「食べることも1つの仕事。アスリートにとって意味のないものは取らない。例えばショートケーキがアスリートに必要不可欠と言われれば取るけど、それはないので、ケーキや甘いものは一切食べない。酒も一切飲まない」

 サッカーを始めたのが小学6年と遅く、人と同じことをしていては追いつけないと思い、中学時には飲食に気を使うようになった。

 「飲み物は水かお茶、野菜ジュース、100%のジュース。要は砂糖とか余計なものが入っていないもの」

家には栄養学の専門書

 自宅には分厚い栄養学の専門書があり「食」に関する最新情報も、インターネットで調べて吸収する。「栄養というのはバランス良く取らないといけないんです」。当たり前のように話すが、豊富な知識があるから、それを可能にする。

 30歳を超えたころから、疲労の抜けにくさを感じてきたという。だからこそ栄養バランスも考えつつ、量を食べることも心がける。

 「朝からご飯山盛り食べる。昼もパスタ大盛りとか。夜はそれに比べると比較的抑えめに食べる」

うな丼を手に笑顔を見せる横浜の中沢(本人提供)
うな丼を手に笑顔を見せる横浜の中沢(本人提供)

体が今、何を欲しているかキャッチ

 横浜では午前練習後の昼食は、3種類のメイン料理から2品以上を選んで食べるのが基本ルールだ。選ぶ際には、これまでの経験をもとにした感性を最も重視する。本人は「ファーストインプレッション」と口にしたが、クラブの栄養アドバイザーを務めて18年目になる栄養士の橋本玲子氏は「体が今、何を欲しているかキャッチできる。トップアスリートしかできないこと」と補足。ご飯など炭水化物を多めに取ってエネルギーを蓄え、その分、増えた糖質はジュースやフルーツを減らすなど、理論と感性のバランスが絶妙だという。

20日のメイン料理3種
20日のメイン料理3種

 練習でも試合でも両膝にテーピングを施すが「自分が出る以上は、出ていない選手よりもいいプレーをしなきゃいけないという責任感」が、体を後押しする。シーズンオフも規則正しい食生活を送る中沢の連続試合フル出場は、まだ止まりそうにない。【高田文太】

中沢佑二(なかざわ・ゆうじ)

 1978年(昭53)2月25日、埼玉県生まれ。三郷工技術高卒業後の96年にブラジル留学。98年にV川崎(現東京V)に練習生として入団。99年にプロ契約し、同年新人王。02年に横浜移籍。J1通算は歴代2位の552試合に出場し、35得点。日本代表では通算110試合に出場し、DFでは最多の17得点。W杯は06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会出場。187センチ、78キロ。血液型AB。

(2017年6月23日付日刊スポーツ紙面掲載)

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