中日鈴木翔太投手(21)がプロ4年目で初勝利を挙げた。9日のDeNA戦で6回途中2失点の好投。13年ドラフト1位入団も、故障などで過去3年間は未勝利に終わったが、苦しい期間を経てうれしいウイニングボールを手にした。

中日対DeNA プロ初勝利の鈴木はウイニングボールを手にドアラの祝福に笑顔を見せる(撮影・前岡正明)
中日対DeNA プロ初勝利の鈴木はウイニングボールを手にドアラの祝福に笑顔を見せる(撮影・前岡正明)

 端正でスマートな外見とは裏腹に、鈴木のプロ根性は人並み外れている。もともと人より成長期が遅く、中学途中までは身長も低かった。注目され始めた高校では、今度は細身に悩まされた。そこで「食トレ」に励んだ。選んだのは餅だ。高1の冬には朝晩2回、雑煮を食べ続けて3カ月で5キロ太らせた。

 ドラフト1位でプロ入りが決まると「こんな体ではプロでは無理だ」と、再び餅に手を伸ばした。今度のノルマはなんと1日20個。普通の食事に加えて、朝に7個、夜に13個と決めて、ほおばり続けた。焼き餅、吸い物、雑煮と、母一重さんの手を借りてバリエーションをもたせた。その結果、3カ月で10キロ増の68キロまで上げた。

 プロ入り後も好んで餅を食べるが、もう無理はしない。健康に気をつけながら体重を少しずつ増やし、プロらしい体に仕上がってきた。大学ならまだ4年生。本領発揮はこれからだ。【中日担当=柏原誠】

(2017年5月10日付日刊スポーツ紙面掲載)