4月に現役引退したフィギュアスケート元世界女王の浅田真央さん(26)の食のエピソードです。

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 浅田は引退会見で、生まれ変わるなら「ケーキ屋さん、カフェ、レストランをやっていたのかな」とほほえんだ。スケート同様に愛した「食」のエピソードにも、人柄が表れる。

引退会見で、報道陣の質問に笑顔を見せる浅田(撮影・狩俣裕三)

 基本は和食だ。海外遠征時はきなことしょうゆを欠かさなかった。14年ソチ五輪ではうなぎパック、赤飯も持参。料理も得意で、姉の舞さんいわく「シンプルな、おばあちゃんが食べそうな」バランスの取れた品々が並ぶ。愛知・豊田市の中京大近くにある「まるか食堂」(昨年頃閉店)には入学直後から家族と通い、魚、煮物、大根おろしを好んだ。店員は「猫が食べたように、魚の食べ方がきれい」と証言していた。

 幼い頃から好物は焼き肉。野菜は苦手だったが、07年頃から鍋に入れ、煮込むことで食べられるようになった。

 練習で度々訪れるカナダ・トロントには行きつけのベジタリアンレストラン「フレッシュ」がある。お気に入りは「ベジバーガー」。肉を使わないパテや揚げたタマネギなどを挟んだ、食べ応えのある一品だ。これに揚げたサツマイモを添え、1人でぺろりと平らげる。「絶対バーベキューソース!」。うまさを力説する目は輝いていた。

浅田さんが好む名古屋市のかき氷店「あんどりゅ。西大須VIP店」のずんだ(右は岩塩)(撮影・松本航)

 パンケーキなど、甘い物にも目がない。いちご大福を買い求めた和菓子店「福岡屋」(豊田市)の福岡きみ子さん(66)は「すごく気さくでした」。12位だった昨年12月の全日本選手権後にも1人で立ち寄った、名古屋市のかき氷店「あんどりゅ。西大須VIP店」の「ずんだ」も大好物。沢幡昇志店長(30)は「帽子をかぶった真央ちゃんに気を使って『“お姉さん”、今日は何にしましょう』と聞いても『“真央”、今日は…』と言っちゃう」と皆に愛される純粋さを語る。

 常連客が4、5杯食しても、現役時代の浅田は「常時2杯」にこだわった。沢幡さんは「頑固な真央ちゃんがついに2杯以上解禁か、気になります」と優しいまなざしで扉を見つめた。【高場泉穂、松本航】

(2017年4月20日付日刊スポーツ紙面掲載)