<騎手の食生活:田辺裕信騎手>

 騎手シリーズの第2回は、2月13日終了時点でリーディングの田辺裕信騎手(33=フリー)。厳しい体重制限がある騎手にとって、思い切り食べられないことがストレスとなるが、田辺にとってはもともと食べることがストレスだった。

 「昔から食べることが苦手で、ご飯もパンも麺類もダメ。(出身の)福島県はおいしいお米がとれるところですけど、ダメでした。家族で月に何回か行く外食も乗り気じゃなかったなぁ」。食が細く、食べること自体が苦手だったが、騎手という職業には向いた。

笑顔でインタビューに答える田辺裕信騎手
笑顔でインタビューに答える田辺裕信騎手

 子供のころは乗馬ではなく、部活動が中心。「小学校の時はサッカー、中学時代はテニス。部活を頑張ってやって、学校から家までダーッと帰ると、疲れてしまって『ダメだ何も食べられない。寝たい』っていう日が多かったですね」と振り返る。

 中学卒業後、競馬学校に入学する時の体重は39キロ。競馬学校では厳しい体重制限、カロリー制限があるが「入学当初はいくら食べても大丈夫でした」と語るほど減量とは無縁だった。「体が成長した後に減量して騎手になるのはつらい職業だけど、成長を遅らせる食事をしてきたのではないかと思います」。褒められることではないが、成長期に細かった食が騎手という職業には合致した。

中山4R デビュー戦を快勝したサイドチェンジと田辺裕信騎(2017年1月21日)
中山4R デビュー戦を快勝したサイドチェンジと田辺裕信騎(2017年1月21日)

 成長するにつれ、減量する機会も増えたが昨年はグルテンフリーに取り組み、マッチした。「それも、もともとパンが苦手だったから出来たのかも」。今は減量も必要だが、うまく付き合っている。「サウナで減量してカサカサの状態ではいいレースは出来ない。レース当日は、水分摂取を大事にしてます。好きな栄養ドリンクで補給するようにしてます」。

 2月13日終了時点で17勝は全国トップ。苦手な食事とうまく付き合うことで、成績も上向いている。

田辺裕信(たなべ・ひろのぶ)

 1984年(昭和59)年2月12日、福島県生まれ。02年小西厩舎所属としてデビュー。現在はフリー。14年フェブラリーSをコパノリッキーで制し、G1初制覇。16年にはロゴタイプで安田記念を制しG12勝目。今年はすでに京成杯をコマノインパルスで勝利。163センチ、52キロ。