リオデジャネイロ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで、日本人としてカヌー競技で初、アジア人としても初メダルとなる銅メダルを獲得した羽根田卓也(29=ミキハウス)は、愛知の杜若(とじゃく)高校を卒業するとすぐにカヌーの本場スロバキアに渡り、10年間の海外生活を送ってきた。

リオ五輪で銅メダルを獲得したカヌーの羽根田卓也

 海外生活に伴い、羽根田はあらかじめ日本で栄養士から食事でアドバイスを受けていた。

 羽根田 スロバキアで生活するようになってから、毎回の食事には気をつけています。具体的には色の濃い野菜を食べるようにしています。できれば数種類の野菜ですね。それから、自分は胃腸が強くないので、油の少ない物を注意して取るようにしています。

食べるタイミングと量を意識

 基本的にはスロバキアで練習しており、そこでは自炊となる。一方、W杯など欧州を転戦する際は外食になる。

今年6月の世界選手権が行われたフランス・ポーでのレストランでのランチ。プレートの手前が白身魚。茹でたアスパラガス、カボチャ、ズッキーニとトマトのサラダ添え

 写真にあるワンプレートの料理は、2016年6月、W杯出場のために訪れたフランスのポーでのランチのメニュー。ちなみにこのW杯で羽根田は日本勢初の表彰台となる3位に入っている。大会期間中は増量は考えずに、食事内容はコンディションを重視。練習、試合の3時間以上前に昼食を取る。「食事を取るタイミングと、量は気にしていました」。規則正しい食生活と、野菜、魚を中心にしたメニューを主眼に置いてきた。

 帰国すると愛知・豊田の実家で食事をすることが主になる。

羽根田の実家での夕食。左上が焼きシューマイとニンジンの豚肉巻き、キャベツとトウモロコシのサラダ、小松菜とじゃこのあえ物、右上がキムチ、左下がさつまいもの炊き込みご飯、右下がエノキと大根の赤だし

 羽根田 写真ではサツマイモ入りの炊き込みご飯と、赤だしとキムチ、おかずですが、食卓には大皿におかずがのっているんです。ごはんもお代わりするので、大体2杯くらいは食べます。おかずもどんどんお代わりをします。焼きシューマイに、ニンジンを豚肉で巻いたもの、キャベツとトウモロコシのサラダ、小松菜とじゃこをあえた物です。実家に帰るとみそ汁は赤だしです。中身はエノキと大根。それにキムチですね。写真は10月26日の食事内容です。今の時期はオフシーズンで水上トレーニングはあまりしないで、陸上トレーニングがメインです。地元ということもあって、リラックスして食べるようにしています。

子供のころから考えて食事を

 食事の重要性は年を追うごとに痛感している。羽根田がスロバキアに渡った10年前に比べると、今は多岐にわたるスポーツで、日本から海外へ拠点を移す選手が出てきた。その考えは、海外での食生活を念頭に置いた意識に基づいている。

 羽根田 環境を変えることで、選手の競技力は大きく成長する可能性があると僕は感じています。だから、食生活はとても大事です。僕はスロバキアに行くまでは食事のことをそんなに気にしたことはなかったんですが、やはり海外に身を置いてみて、何に気をつけながら食事しないといけないかをよく考えるようになりました。

 羽根田は自身の経験から、どんな競技かにかかわらず、子供のころから自分の体のことを考えて食事をすることが大事だと強く感じている。基本的なことだが、食事の大切さを、多くの少年少女などの若いスポーツ選手に知ってもらいたいとの思いが強い。【井上真】