登録選手の最長身が191センチ、ついで187センチ…と、男子バスケットボールの全国上位クラスではサイズのない浜松学院(静岡)が、そのハンディを補うべく力を入れているのが体作りだ。全国高校総体では3回戦に進出。普段の練習時の食生活について聞いた。

 同部の3年生の多くは付属中時代に全国中学校大会(全中)で全国制覇を果たしている。しかし高校入学後、なかなか結果がついてこなかった。「高校に入って体負けが顕著に表れたんです。技術はそこそこある選手たちがそろっているので、とにかく徹底的にトレーニングに取り組みました」と森下貴之コーチ。

全国の長身センター相手に堂々と渡り合った浜松学院の田中旭
全国の長身センター相手に堂々と渡り合った浜松学院の田中旭

 加えて半年ほど前から取り入れるようになったのが、練習後の補食。体育館の入口でごはんを3升炊き、練習終了後にどんぶり一杯、1人米1合以上を食する。「トレーナーから『トレーニングだけやっていても筋肉がつぶれるだけ。特に練習終了後から30分以内にお腹の中に食事を入れることが大事』と指導を受けて始めました」と森下コーチは振り返る。

 ほとんどの選手が自宅通学。体のケアやウエートトレーニング、着替え、移動の時間を考えれば、30分以内に自宅で夕食をとることは難しいため、学校の理解の下、このような方法に至った。「これまでもストレッチの前にプロテインを飲むようにしていたのですが、ごはんを食べ始めてから1カ月半くらいで回復が早くなり、バテなくなりました」(森下コーチ)。

それぞれ「ごはんの友」を用意

 選手たちはそれぞれ、お気に入りの「ごはんの友」を用意している。ふりかけ、魔法瓶に入れたカレー、多めに用意したお弁当のおかず…。まぐろフレークの缶詰とゆかりが定番だというエースの田中旭(3年)は「僕は、補食をとり始めて2カ月で4キロ増えたし、力もつきました」と話す。

足と体をフルに使ったディフェンスが奏功し、1回戦は53失点、2回戦は39失点に抑えた浜松学院
足と体をフルに使ったディフェンスが奏功し、1回戦は53失点、2回戦は39失点に抑えた浜松学院

 取材した8月1日の2回戦では、強靱(きょうじん)な脚力とフィジカルを押し出したディフェンスを武器に豊浦(山口)に勝利。その後の取材中、田中がしきりに腹部をさすっているので理由を尋ねると「ちょっと…おなかがすいちゃって」。時は12時50分。昼飯どきを過ぎていた。

 3回戦の開志国際(新潟)戦は終始リードされる展開ながらも僅差で食らいつき、終盤でとうとう逆転。延長まで持ち込んだ。田中も203センチの留学生を相手に33得点と大活躍したが、最終盤のミスに泣いた。

 現在体重は85キロ。増量について「まだまだこれからです」と話したが、田中本人、そしてチームの成長もこれからだ。【青木美帆】

<全国高校総体男子バスケットに出場したその他の学校の食育>

開志国際(新潟)
 2014年の開校と同時に創部。初出場ながらベスト8に進出。選手のほとんどが寮生。食事は朝、昼、練習前、夕食、夜のシューティング後の5回体制で補食にはおにぎりを。「一般の生徒と同じ寮なので食事は少しおかずが少ないですが、その分は米とプロテインで補っています。選手それぞれに目標体重を設定して、トレーナー、アシスタントコーチ、選手たちが管理。とりあえず太らせる! ようやくいい体になってきたと思いますよ」(富樫英樹コーチ)。

東海大諏訪(長野)
 今大会は2回戦敗退ながらも、冬のウインターカップが楽しみな下級生チーム。選手は寮生活。3食に加えて、安価で手軽にカロリーがとれるバナナを11時と練習中に、プロテインを14時30分とトレーニング後にプラスしている。「練習前と練習後に体重をはかり、その数値で食事量をチェックしています。夕食は1食1000グラムとることを目標にしていますが、一度に食べられない選手は補食を指導しています」(入野貴幸コーチ)。