書くことで意識が変わる。今春関東大会にも出場した群馬の強豪、高崎健康福祉大高崎。積極的な走塁で近年、甲子園の常連校になった同校の選手は、ここ2年で体格もぐっと大きくなった。成長の陰には、細かく食事記録をつける「トレーニングカレンダー」の存在があった。

目標設定、書いて意識高める

 「機動破壊」と呼ばれる攻撃的な走塁を武器に、初出場の11年夏から早くも5度、甲子園に出場した高崎健康福祉大高崎。全国準々決勝で敗れた14年夏、首脳陣は痛感した。「細かったんですよね、うちの選手。センバツの時期と比べると、夏前は2~3キロ体重が落ちていた」。生方啓介部長(35)が振り返った。

高崎健康福祉大高崎のトレーニングカレンダー。ご飯の量と時間、プロテインやサプリメント摂取など毎日記入する

 いかにパフォーマンスを上げるか。上のレベルにいくほど、食事に気を使う学校が多かった。それまで技術指導中心だったが、切り替えた。生方部長が考案し、10月から早速取り入れたのが「トレーニングカレンダー」だ。

 食事の時間と量、プロテインやサプリメントを摂取したかどうか。目標を設定し、選手によっては反省もびっしり記入する。「見た目より内側、コアの筋肉をメインに、芯の強い選手をつくることが狙いです」。筋肉量を把握すべく、今年1月からは体脂肪率も記録。練習用の野球ノートは青柳博文監督(44)が、トレーニングカレンダーは生方部長が。「技」と「体」の両面から選手を支えるようにした。

 かつて食べたものと体重を記入するレコーディングダイエットが流行したが、これはその逆。書くことで意識して「増量」させる。52人が生活する寮では、小林幹夫さん(40)が「ご飯を1杯でも2杯でも多く食べられるように」と栄養価の高い3食を用意してくれる。取材日の昼食のつくねは、脂身の少ない胸肉でエネルギーになりやすい。ひじき煮は一気に何品目もの食材を取れるオススメのメニューだ。

具体的な栄養指導で選手に考える力

 結果から言えば、カレンダー導入は効果てきめんだった。パワーがつき「1年で目に見えて選手の体が大きくなった」(生方部長)という。昨夏甲子園に出た3年生は、1人もケガや体調不良で離脱しなかった。今春のオープン戦は長打が増え、体幹が鍛えられて守備も力強さが増した。これにはもう1つ、理由がある。

 それが「超・具体的な食事指導」だ。同じく14年秋から、熱中症対策の啓発活動に訪れていた大塚製薬の担当者に、栄養指導を頼んだ。秋口と新入生が入る4月の年2回、講習会をしてもらう。ジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ黒木友恵さん(35)の説明は、とにかく分かりやすい。

 「食事よりプロテインを取ると消化機能が弱くなって、栄養を十分吸収できないですよ。とか、朝食を食べないで朝練したら逆に痩せちゃうよ、とか。カップ麺は油が多くて吸収が遅くなるので、補食に適していない、というふうに、かみ砕いて話しています」。何がどうダメなのか。理解できれば応用が利く。外食に野菜ジュースを足したり、修学旅行中の補食におにぎりを買ったり。選手自らが「食」を考えるようになった。

 トレーニングカレンダーと栄養指導のダブルの意識改革で、健大高崎野球部は肉体改造に成功した。4カ月で体重が4キロ増えた選手もおり、体力に比例して試合中の集中力もアップしてきた。「かなり成果が出た。次は自分のベスト体重を知ってほしいですね」と生方部長。今夏の「機動破壊」は、さらにパワフルになりそうだ。【鎌田良美】

<高崎健康福祉大高崎のレシピ例>

つくねのハンバーグ
①鶏ひき肉にタマネギのみじん切り、かたくり粉、生卵、しょうゆ、砂糖、ショウガ、こしょう適量を入れてまぜる。
②フライパンに油をひいて両面を焼く。
③しょうゆ、砂糖、みりんを煮詰めたタレに絡め、卵の黄身につけて食べる。

ひじき煮
①乾燥ひじきを水で戻し、ざるにあげる。
②刻んだ鶏肉を炒めたところに、にんじん、しいたけ、ちくわを入れて炒める。グリーンピースを入れると彩りが良くなる。ひじきも加えてさらに炒める。
③水を少なめに入れ、しょうゆ、砂糖、みりん、本だしで味を調えて煮る。

(2016年6月16日付日刊スポーツ紙面から)

※2017年第89回選抜高校野球出場