突然ですが、皆さんの排便の頻度はどれくらいでしょうか? 「毎日必ず出る」という人もいれば「2~3日に1回が普通」という人もいることでしょう。排便リズムは人それぞれなので、一概にこの頻度がいいということはありませんが、うんちのことを「便(たより)」と書くように、便には体からの様々なサインが隠れています。

私たちの体は、腸に食べ物の残渣(ざんさ)や腸内細菌の死骸など、不要なものを一定量ため込むことができるようになっています。この不要なものが便となり、蠕動運動によって肛門へ向かって送られ、直腸反射によって便意が起こります。この一連の流れには、様々な外的要因が関与しているのです。

妊娠出産で排便リズムが変わった

個人的な話になりますが、私は妊娠出産を経て排便リズムが変わりました。産前は便秘がちでしたが、産後は毎日ほぼ必ずお通じが来るようになりました。これは妊娠出産によって、女性ホルモンのバランスが大きく変化したことが影響していると考えられます。

月経前に分泌量が増加する女性ホルモンの一種「プロゲステロン」は子宮を守るため、腸の動きを鈍らせて体に水分を蓄えさせ、便秘になりやすい状況を作り出します。月経前に便秘になりやすい女性は、このプロゲステロンの働きが大きく関係しています。初潮を迎えたばかりの女子アスリートが便秘になりやすいのも、まだ不安定な女性ホルモンや発汗による脱水、思春期の心の動きなどが影響するからです。

反対に、男性は便秘よりもおなかがゆるくなることが多い傾向にあります。男性は筋肉量が多く、女性ホルモンによる影響なども少ないため、便秘しづらいこともありますが、女性よりストレスに弱いことも関係していると言われます。

うんちは心身のバロメーター

胃腸はストレスに敏感で、遠征や合宿などで環境が変わったり、試合前で精神的に緊張したりしただけでも排便リズムに影響します。特に思春期のジュニアアスリートは、「うんちは汚いもの、恥ずかしいもの」という感覚が強くありますが、心身のバロメーターでもあります。

胃腸のコンディションは食べ物の消化吸収率にも影響するため、試合でのパフォーマンスやスタミナにも直結します。うんちの話が気軽に相談できるようなチームの雰囲気、家庭環境が作れるといいですね。

今回紹介するレシピは「新タマネギの丸ごと塩こうじ蒸し」です。塩麹のような発酵食品には腸内環境を整え、腸内に有益な細菌を増やす効果があります。水分たっぷりの新タマネギならではの甘味とトロトロの食感を楽しんでみてくださいね。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子