高齢者の死亡リスクが最も低くなるBMI(Body Mass Index)は、健康な状態と要介護状態の中間に位置付けられるフレイルの有無により異なる。このような研究結果を、早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邊大輝助教と宮地元彦教授らの研究グループが発表しました。

65歳以上の日本人高齢者約1万人を対象に、体格の指標であるBMIと死亡との量反応関係を検証。フレイルの有無で、死亡リスクが最も低くなるBMIが異なることを世界で初めて報告しました。

BMIが普通(21.5~24.9)の人と比べて、やせ(18.5未満)の人は、フレイルでもフレイルに該当しなくても生存率が低い。
BMIが普通のフレイルでない人よりも、BMIが25.0以上の肥満でフレイルの人は死亡率が高い。
フレイルに該当する高齢者では、BMIが高ければ高いほど死亡リスクは低くなる。
フレイルでない高齢者は、BMI23.0~24.0の人が最も死亡リスクが低い。

この結果を見ると、フレイルかどうかに関わらず、高齢者のやせは死亡リスクを高める要因となりますが、太ってBMIを高くしても死亡リスクを完全には相殺できません。つまり、フレイルの人はBMIを増加させることよりも、フレイル度の改善を優先すべきだということを示唆しています。

研究チームは「フレイルであるか否かに関わらず、全ての高齢者にとって、『やせすぎは長生きの妨げ』となることがわかりました。一方で、『太っている方が長生き』と判断することは危険です。日々元気に体を動かし、バランスの良い食事をしっかり摂って、やせすぎず太りすぎない体型を維持することをお勧めします」とコメントしています。

この研究は、2011年から京都府亀岡市で介護予防の推進などを目的に進められている前向きコホート研究「京都亀岡スタディ」に参加した1万912人のデータを使用して解析、BMIを評価した上で、中央値で約5年間の追跡調査を行いました。調査期間中に亡くなった高齢者は約1300人。また、この研究における高齢者全体のフレイル該当割合は約44%だったといいます。

研究成果をまとめた論文は海外科学誌「Clinical Nutrition」のオンライン版に掲載、2月には雑誌に掲載される予定。