ネットやSNSには、食事や栄養についての様々な情報が飛び交っています。「この方法でこんなに痩せました」といったものも多くみられますし、何か正解で何が間違っているのかがわからないと思っている人も多いでしょう。

エビデンスがあるものや、論文になっているものが信頼のおける情報だと言われますが、真逆の結果の論文があったり、以前良いと言われたものが、後になって良くないと言われたりと混乱することもあるでしょう。

実際、体質には個人差がありますし、同じ人が同じことを行っても、生活習慣や体調、年齢や状況で変わります。そこで需要なのが、栄養状態を評価(アセスメント)をすることです。

主観的評価と客観的評価

主観的評価とは、下記にあるように「特別な器具や装置を必要としない評価」です。「食事療法を始めたら体調が良い」と感じるなどは、この主観的評価になります。

・体重の変化
・食事摂取量の変化
・身体所見(足が細くなった、おなかがへこんだ)
など

それに対し、客観的評価とは「身体計測や血液検査など検査データを元にした評価」です。最近では、自宅の体重計でも体脂肪率が測れるものが多いので、具体的な数値も手にできます。

・体脂肪率
・腹囲
・血液検査項目
など

どちらの評価も大切ですが、客観的評価の方がより大事です。例えば、「プラセボ効果」と言って、実際には変化はないのに、良くなったように思い込んで効果があったと感じることがあります。良くなったと感じることは良いことですが、主観的評価は思い込みもあり、実際に効果が出ていないこともあるからです。

また、体重の増量と減量を繰り返し、自分では「体重をコントロールできて調子が良い」と思っていても、血液検査や超音波検査をしたら脂肪肝になっていたという話もよくあります。自己評価より他人の評価の方が正しいこともあります。身体所見などは、周囲の人に聞いてみるのも良いでしょう。

「○○が良い」も摂りすぎでリスクに

また、「〇〇の成分が体に良い」という報告があったとしても、摂り過ぎればリスクになるケースも多くあります。

最近の研究で、日本の高齢者においてアラキドン酸の摂取と脳トレ(クロスワード、クイズ、認知トレーニングゲームなど)が認知機能低下の抑制につながるといった報告がありました。アラキドン酸は、肉(特にレバー)や魚、卵黄に多く含まれているn-6系の多価不飽和脂肪酸ですが、アラキドン酸を多く含む食品は、同時に飽和脂肪酸も多く含むため、摂り過ぎればLDL-コレステロールの上昇にもつながります。

このようなことからも、健康診断の血液検査を参考に、主観的評価に加え、客観的評価を確認していきましょう。少なくとも定期的な体重測定やウエストサイズのチェックは行いたいものです。

管理栄養士・今井久美