「減量(ダイエット)」と「リバウンド」を繰り返す人がいます。頑張って減量したのにもったいないと思うのと同時に、「体は大丈夫かな」と心配になります。

ご存知の通り、減量とは「摂取エネルギー<消費エネルギー」の状態を作ることです。1kgの脂肪を減らすためには、約7200kcalの収支をマイナスにする必要があります。

1カ月で1kg減量する場合、1日あたり240kcalのエネルギーをマイナスにする計算です。例えば、アイスクリーム1個分を減らす、茶碗1杯(150g)のご飯を減らす、60kgの人が時速4kmのウォーキングを1時間半行うなどで、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを増やす必要があります。これを毎日行うのです。

1カ月1kgであれば、身体への負担はそれほど大きくありませんが、短期間でハイペースの減量、つまりエネルギー不足が続くと体にはどんな変化が起こるのでしょうか。

エネルギー不足時に体に起こること

・性ホルモンの分泌低下、月経異常
・レプチン低下による満腹中枢刺激低下
・骨の形成、維持の低下
・鉄吸収低下によるヘモグロビン濃度の低下
・LDL-Cの上昇
・便秘、腹痛、腹部膨満感など消化器症状
・骨格筋の低下
・心筋の低下
・睡眠障害
・記憶力や認知機能の低下
・うつ状態
など

体の変化だけでなく機能も低下します。減量は少なからず体にダメージがあるのです。

とはいえ、体脂肪が多い状態、特に内臓や肝臓に脂肪が蓄積している状態は血圧上昇、糖代謝異常、脂質代謝異常などの生活習慣病になりやすく、動脈硬化の原因になります。放置せず脂肪を減らしたいですね。

減量時は運動も、体重より「見た目」が大事

減量する時は、体重だけでなく「見た目」も大切です。また、食事を減らすだけでなく運動も同時に行ってください。

生物にはホメオスターシス(恒常性)があり、摂取エネルギーが少ない状態が続くと、基礎代謝を低下させ、消費エネルギーを減らして調整するようになります。これが、食べる量を元に戻すと太ってしまう原因です。食事制限だけでやせようとするとリバウンドしやすくなるのです。

基礎代謝を低下させずに筋肉量を維持するには、運動を行いながら減量することです。有酸素運動も筋肉トレーニングもどちらも必要ですが、まずはできる運動をやってみましょう。脂肪を落とすのには時間がかかるので、焦らずゆっくり減量しましょう。

体重に一喜一憂するのではなく、重要なのは「見た目」です。

おなか周りがスッキリしたか、筋肉は落ちていないか、顔色は悪くないか、皮膚に張りはあるか、脱毛量が増えていないか、ぼんやりしておらず覇気はあるか…。大人世代が減量する場合、そのようなことも意識していきましょう。

呼吸が乱れるなどの異常があれば、直ちに減量をやめてください。減量の基本は、生活習慣を改め、維持できるよう「習慣」にすることです。

やせたり太ったりするとシワやたるみの原因にもなります。減量する前に太らないようにすることも大切です。

管理栄養士・今井久美