「更年期」というと、女性特有のもののように取り上げられますが、男性にも更年期障害が見られる場合があります。更年期障害はホットフラッシュ(顔がほてる、冷や汗)や冷え、寝つきが悪いといった体の症状だけでなく、怒りやすくイライラする、気持ちが落ち込むといった精神的な症状もあります。

女性の場合、女性ホルモンに似た大豆イソフラボンやエクオールの摂取が推奨されますが、男女共に積極的に摂った方が良い栄養素はあるのでしょうか。手軽に摂れる食品とともにお伝えしていきます。

ビタミンE

ビタミンEは血流を良くし、ホルモンの分泌を整えてくれる働きがあります。冷えの改善にビタミンEが処方される場合もあります。抗酸化作用もあり、老化や動脈硬化の予防も期待できるため、更年期には積極的に摂りたい栄養素です。

多く含まれる食品はナッツや魚介類、大豆製品です。ビタミンAやビタミンCと一緒に摂取すると、より抗酸化作用が期待できます。

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨密度の低下を抑制します。また、女性ホルモンや男性ホルモンの構造に似ているため、ホルモンのような働きをします。更年期はビタミンDの合成も低下し、血中のビタミンD濃度が低下するため積極的に摂りたい栄養素です。

魚介類やキノコ、卵黄に多く含まれています。

ビタミンB群

ビタミンB6はホルモンバランスを整えます。赤身の魚や肉類、サツマイモや玄米などの精度の低い穀類、バナナなどに多く含まれています。

ビタミンB12は神経に作用し、しびれや指の強張りを改善、ビタミンB1と共に自律神経を整えてくれます。更年期障害で見られる精神的な症状の改善効果も期待できます。

ビタミンB1は精度の低い穀類や赤身の肉類や大豆製品、ビタミンB12は魚や肉といった動物性食品に多く含まれています。

ビタミンK

ビタミンKは骨の形成に必要なビタミンで骨粗鬆症の予防に必要なビタミンです。納豆に特に多く、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や抹茶にも多く含まれています。

肝油

最近では、「更年期には肝油が効果がある」と話題です。肝油とは、サメやタラなどの魚類の肝臓に含まれる液体から抽出した脂肪油です。肝油にはビタミンAとビタミンDが多く、さらにビタミンCが添加されたものや、甘酸っぱいもの、乳酸菌やカルシウムが添加されたものも販売されています。

サメから抽出された肝油には、ビタミンEやDHA、EPAも含まれています。スクワレンというオリーブオイルにも含まれる不飽和脂肪酸が含まれており、免疫力や肝機能を高め、抗酸化作用があります。これに水素添加したスクワランは、化粧品にも使われています。

食事だけで必要量をまかなえない方は、サプリメントやビタミン剤を利用することもあると思います。あれもこれもと複数摂取し、特にビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの過剰症にならないよう気をつけましょう。

管理栄養士・今井久美