寒くなると風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が流行します。空気の乾燥によってウイルスの飛沫が飛びやすくなるためですが、気温が下がることで体が冷えやすく、体温が低下することで免疫力も下がることも原因の1つです。今から、感染症予防に向けて対策をしていきましょう。

免疫力の指標

まずは自分の免疫力の状況を知りましょう。健康診断などで行う血液検査で分かります(基準値は検査機関や検査方法により異なる)。

血液検査①
 血中タンパク質(基準値:総タンパク6.5~8.2g/dl)
 アルブミン(基準値:3.8~5.1g/dl)

血中タンパク質とアルブミンは、タンパク質が足りているかを判断する指標です。肝臓や腎臓の機能が低下するとこれらの数値も低下します。数値が低いということは栄養状態が悪い状況ですので、免疫力は低下します。代謝も落ちて、体の隅々まで血液が巡りにくくなり冷え性にもなるため、タンパク質の摂取量を増やしましよう。また、エネルギー不足でも低下するため、厳しいダイエットは避けましょう。

血液検査②
 白血球数(基準値:3.0~9.0×10の3乗/μl)

白血球は免疫機能の指標で、高い場合は、急性の細菌感染、がん、白血病など血液の病気が考えられます。低い場合は免疫力が低下している状態です。ウイルスによる感染、薬の影響などの可能性もあります。白血球を上げる食品はありませんが、免疫力を上げるためにタンパク質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどを摂りましょう。

体温

細菌感染し、炎症があると体温が上昇します。一方で、36度未満の軽度低体温では免疫力が低下します。体温を上げるために防寒も大切ですが、運動する、湯船に浸かる、規則正しい生活で自律神経を整えることも、体温を上げる手段です。

免疫力を高めるポイント

腸活、睡眠

免疫力を上げるために腸内環境を整える「腸活」を意識している人もいるでしょう。また、疲れ過ぎないこと、睡眠を十分に取ることも免疫力を低下させないために大切です。

ビタミンD

また、魚やキノコ類に多く含まれるビタミンDには、免疫機能を調整する働きがあります。摂取目標量は男女とも1日8.5μg(食事摂取基準2020の18歳以上目安量)ですが、令和元年の国民健康・栄養調査によると、1日の平均の摂取量は20歳以上の男性が7.9μg、女性が6.6μgと不足しています。

ビタミンDは日光を浴びることによる体内で生成することができます。食事摂取基準には「日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図る者はもとより、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である」と記載されているように、日光を浴びることで足りない分を補うことができます。

紫外線の量は季節や住んでいる緯度、時間帯によって変動し、ビタミンDの産生量も異なりますが、日差しの強い季節なら朝など午前中、冬は暖かい日中、通勤時や昼休みを利用して15~30分程度、歩いてみてはどうでしょうか。ストレスも免疫力を低下させますが、リズミカルなウォーキングはストレスも軽減してくれますよ。

【管理栄養士・今井久美】