日中に烏龍茶(ウーロン茶)を飲む習慣があると、睡眠時の脂肪燃焼が促進されるとの研究結果を、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の徳山薫平教授のグループがこのほど発表した。

茶の生葉を乾燥・発酵させる過程の発酵度合いの違いによって、緑茶、烏龍茶、紅茶などの様々な種類のお茶が作られ、それぞれの成分も異なるが、烏龍茶には、他の茶葉と比べてカテキン類が重合して生成する重合ポリフェノールが多く含まれている。お茶に含まれるカフェイン、カテキンおよび重合ポリフェノールなどがエネルギー代謝に与える効果については、これまでに多くの研究がされてきたが、それらは主に急性効果(1回、あるいは1日摂取した場合の効果)の研究だったため、お茶を常飲した場合の効果を評価するため、2週間の調査を行った。

2週間、朝昼に飲んだ場合

研究では、烏龍茶の習慣的な摂取が24時間のエネルギー代謝と睡眠に及ぼす効果を、プラセボおよびカフェインのみを含有した飲料と比較して検証。健常男性12名の被験者に2週間にわたり、朝食と昼食時に烏龍茶、あるいはカフェイン飲料350mlを朝昼2回飲んでもらい、2週間後にエネルギー代謝と睡眠を測定した。

これをプラセボ飲料の効果と比較したところ、烏龍茶やカフェイン飲料の方が、睡眠を妨げずに1日の脂肪燃焼が促進されていた。特に烏龍茶の脂肪燃焼は、睡眠時に、より大きな効果がみられた。日中は、食事摂取に伴う血糖とインスリンの上昇によって脂肪燃焼が強く抑えられるため、烏龍茶の脂肪燃焼刺激作用は睡眠時に現れたと考えられる。

烏龍茶摂取とカフェイン摂取の脂肪燃焼効果に差が認められたことから、今後は、烏龍茶に含まれるカフェイン以外の成分(重合ポリフェノール、カテキン類、没食子酸)の代謝調節作用の解析が必要だとしている。さらに、⻑期間の習慣的な摂取と肥満防止効果との関連についての検討も今後の課題としている。

肥満と睡眠時間に関係が

平成30年度厚生労働省国⺠健康・栄養調査によると、20歳以上の男性3人に1人、女性5人に1人が肥満で、5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えていると言われてる。睡眠不足は体重増加と関係しており、睡眠時間の短い者は体重が重い傾向がある。また、睡眠とエネルギー代謝の制御は調節因子を共有して協調していることから、エネルギー代謝に影響することが予想される食品素材の検討に際しては、睡眠に対する影響も考慮することが重要だという。