バレーボール男子日本代表として東京五輪でメンバー入りして以来、A代表で活躍する大塚達宣(24)は、パリ五輪予選でも初戦のフルセット最終セットで劣勢の場面で投入され、逆転勝利に貢献した。パリ五輪本戦でも1次ラウンドを抜けられるか崖っぷちのアメリカ戦で起用され、笑顔でコートを駆け回り、首の皮一枚での予選ラウンド突破の原動力となった。早稲田大学在学中からパナソニックパンサーズ(現大阪ブルテオン)で主力として活躍。今季からイタリアリーグセリエAのミラノで初の海外リーグに挑戦。コミュニケーションに長け、勝負強いオールラウンダーとしてミラノでも活躍が期待されている。【聞き手・中西美雁】
--好きな食べ物、嫌いな食べ物は
あんまりこれってのはないですけど。ご飯があったら生きていけるんで。お米が好きです。嫌いな食べ物はもうないですね。昔からあんまりなかったですし、癖が強いとかでいうとあえては食べないものはあるかもしれないです。でも基本的に出してもらったものはもうなんでも食べる。
--子どもの頃の食事に関するエピソードは
大事にしてたのは、家族全員で食べること。本当に大事にしてました。それがうちの家族のルールでした。やっぱり食事の場というのは家族のコミュニケーションの場なので、家族も1つのチームですし。家を離れて1人で寂しくご飯を食べる環境が生まれてきて、痛感しますね。実家だと、多分絶対誰か1番遅い人に合わせて食べるんです。
例えば、僕が高校の時とか、部活で帰ってくるの遅いときもあったので、遅すぎると流石に先に食べてっていうこともあったんですが、帰ってきて僕がご飯食べてる時はリビングで食べたんすけど、周りにみんな座ってくれてるか、ソファーとかで座ってるかとか、基本的に同じ空間に家族全員いてくれました。そこで自然と話す機会も多かったんで。それはもううちがずっと大事にしてましたね。
--代表に入ってからとか、 早稲田大学に入ってからとか、食事についての考え方を学んだことはありますか
ありました。代表合宿も、特にアンダーカテゴリーのときがそうでしたね。そのあたりで色々と栄養講習とかもしてもらいました。比較的早い段階で、エリートアカデミー合宿とかぐらいからそういう講習を受けさせてもらったので、そういう知識をもって帰ってすぐ母親にプリントを見せて、それを見てご飯を作ってくれていました。基本的にずっと栄養とたご飯作ってくれたんですけど、家族の協力なかったらできないことだったと思います。
--ジュニアアスリート、中高生のスポーツ選手と、その保護者に向けてのアドバイスを
ジュニアアスリートに向けては、やっぱり好き嫌いなくというのをおすすめします。食べず嫌いとかは大人になってからもったいないと思いますよ。食べられるものが多いほうが絶対いいです。遠征先でも何でも食べれるようにというのもあります。自分の体を作るのにいい食事からということになると、やっぱり好き嫌いなく何でも食べれるほうが強い。苦手でも頑張って挑戦してほしいなっていう気持ちはあります。
栄養のバランスのとれた 食事は大事だと思いますけど、僕の場合は親もスポーツをしていたので理解が早かったですが、そういう経験のない方だとまず栄養についての知識を得ることからはじめないといけない。大変ですけど、お子さんが健康に成長して、アスリートとしてものびてほしいという思いがあるなら、サポートしてあげてほしいと思います。
母淳子さんからのコメント
好き嫌いは全然ない子でしたね。本人の言う通り、1日1回は家族みんなで食事をするというのがうちのルールでした。ご飯が大好きなので、イタリアにも炊飯器をもっていってます。頑張って欲しいですね。
◆大塚達宣(おおつか・たつのり) 2000年11月5日生まれ、大阪府枚方市出身。小学3年生の頃、地元のVリーグ強豪・パナソニックパンサーズの下部組織「パンサーズジュニア」の存在を知り、入会してバレーボールを始める。中学までパンサーズジュニアで活動した。洛南高等学校に進学。春高で準優勝、優勝を果たし、「洛南カルテット」と呼ばれた。早稲田大学に進学、インカレ優勝に貢献。大学2年時にシニア代表に選抜されたがコロナ禍のためオリンピックをはじめとした国際大会は中止。翌年2021年も選出され、東京五輪にも出場。大学在学中にVリーグに入団する過去に例のないケースでパナソニックのプレーオフ進出に貢献。最優秀新人賞を獲得。日本代表でも活躍し、ネーションズリーグと世界選手権に出場した。V1男子でベスト6を受賞。2024年5月、8月末にパナソニックを退団し、イタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノへ入団することが発表された。195cm、87kg。