私たちの身近にある「お麩(ふ)」。皆さんは、そのお麩に秘められたパワーをご存じだろうか。

現役時代、高タンパク低カロリーでバランスの取れた食事を心がけていた。しかし、自分で料理をするようになってから、あまりお麩を使った記憶がない。

今回、お麩に秘められたパワーを知るきっかけになったのは、元スピードスケート・ショートトラック日本代表の勅使川原郁恵さんが代表を務める「ナチュラルボディバランス協会」主催の食育イベントだった。

お麩は高タンパク低カロリー。小麦粉に含まれているグルテン(タンパク質)でほぼできている自然食品だ。焼き麩には、ご飯の約10倍、豆腐の約5倍の植物性タンパク質が含まれており、離乳食に使えるほど、消化率にもたいへん優れている。そして、タンパク質の合成や免疫力の維持に必要な「亜鉛」、子供の成長には欠かせない「アルギニン」も豊富に含まれている優れもの。さらには、アミノ酸の一種である「グルタミン酸」が焼き麩100グラム中10600ミリグラムと、肉や大豆など身近な食品の中で群を抜いているというから驚きだ。

麩を使った料理4品とにんじんご飯
麩を使った料理4品とにんじんご飯

そして、女性にうれしい肌のコラーゲンを作る医学会注目の成分「プロリン」も多く含まれており、ビタミンB6が豊富な魚や肉類を合わせることで、プロリンの利用効果が高まるという。ハンバーグなどのつなぎに砕いたお麩を入れれば美容効果だけでなく、肉や魚の旨味を逃がさずふんわりとした仕上がりになる。これはぜひ皆さんにも試してほしい1品だ。

このイベントで作った料理は5品。お麩を使った4品(おからのポテサラ麩、お麩のふんわりつくね、お麩と白菜の豆乳スープ、お麩のきな粉スナック)と、子供に食べてほしい食材の1つであるにんじんを入れた、にんじんご飯だった。

コロナ禍ということで、ZOOMを使ってのリモート料理教室だったが、プロである管理栄養士の先生のお話は勉強になることばかりだった。今までは母や祖母から教わった料理や、作り慣れたものが定番になっていたが、これからはお麩を使ってさまざまな料理に挑戦していきたいと思う。

現役時代に知っていれば、きっとお麩ばかり食べていただろう。お麩は癖が少なく、味も強くないので、どんな味にも変身してくれる、とても優秀な食材の1つだ。育ち盛りの子供はもちろん、体力が必要な子育て中の親にとっても、強い味方になってくれるだろう。

アスリートの経験を生かし、運動の楽しさや食の大切さ、そして心の健康の大切さを伝えたいという気持ちから立ち上げられた「ナチュラルボディバランス協会」。私も娘と一緒に食だけでなく運動のイベントにも何度か参加させてもらっている。

子供だけでなく、親も活き活きと健康で元気に過ごすということは、子育てにおいて意外と難しい。同協会ではこれからも、さまざまな分野のプロフェッショナルの方を招き、イベントを行っていく予定のようなので、皆さんもぜひ親子で参加してみてはどうだろうか。 (中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)

(2021年2月18日、ニッカンスポーツ・コム掲載)